2013年3月30日土曜日

若松孝二を支えた役者たち7名集結!

本日、テアトル新宿で
近年の若松組の現場に参加した個性派俳優が
7名勢揃いした。

半蔵の母親、トミ役の増田恵美、
年若い半蔵を預かった久市の女房カネ役の並木愛枝、
三好の運命を狂わせていく人妻芳子役の月船さらら、
路地一番のウワサ好きなミツ役の原田麻由、
半蔵の男ぶりにのめり込む後家の初枝役の安部智凛、
三好がアニと慕う盗人の直一郎役の岩間天嗣、
半蔵の山仕事仲間、ジンノスケ役で助監督兼の瀧口亮二。

DSCN1289.JPG


並木は『ある朝スウプは』という出演作を観た若松孝二からの
熱烈なコールを受けて『実録・連合赤軍』で永田洋子を演じた実力派。
その同じ現場を共にした安部智凛が、レンセキ初日に
履いていた靴の事で監督から「お前は今日でクビだ!」と大激怒され、
助監督の機転で現場がなんとか回っていった事を語り、
「監督って、助監督が自分の靴を脱いで渡した様子を見ていて
 本当はクビにするつもりなんかなかったかもしれないけれど
 怒りで現場をつくり、またその怒りに対してスタッフも含めて
 現場の人間がどう動いていくかをしっかり見てたと思う」と並木。

若松孝二の激怒エピソード、『11.25自決の日』にも出演し
三島と森田を介錯する古賀を演じた岩間天嗣が
三島の現場で、衣裳部の指示通りに学ランを着ていったところ
「お前、それは違うだろう!衣裳部が着ろと言われたら
 お前はそれを着るのか!それでいいのか!」と怒鳴られた事を語り
「衣裳部が決めたものを着た!」と怒られたのは俳優人生初だったと話し
会場の笑いを誘った。

「それでも、監督って、どうしても次も出たいんです!と言えば
 きっと出してくれるだろうって思える、そういう人でしたよね。
 相手との関係性をとても大切にしていて」と原田麻由が語ったのは
父、原田芳雄氏と監督との対談を書籍にしたいと編集者が
監督に電話した時のエピソード。
「電話に直に出た監督は、すぐに、ああ、いいよいいよと即答して
 後ほど、企画書をお送りします、と編集者が言うと、
 『そうやって、自分が正しい仕事をしてます、というやり方はやめろ。
 俺が、芳雄さんとの関係でいいって言ってるんだから、いいんだよ』と
 いきなり怒り出したんです」という。
四角四面に、自分たちの企画書というパターンではなくて
「俺と芳雄さん」といった関係性での物事のありようを
感覚的に大切にしてきた若松監督らしいエピソードだが
編集者もビックリしただろう。

映画は若松組が初めてだった増田は、若松組の常識が
他の現場では通用しない事を知って驚いた事を語り、
どうしても『千年の愉楽』に出たいと、何度も直談判の末、
助監督見習い兼、という事で、キャスティングに加わった事を
瀧口が語った。

とにかく、俳優にもスタッフにも、あるいは第三者にも
自分の頭で考えろと言い続けた若松監督の原動力は『怒り』と『直感』。

「とにかく早撮りで、ナイターシーンを待ちきれず
 『夜、まだか!』とスタッフに対して怒ってました(笑)。
 結局、夜になるのを待ちきれずに撮り始めて」と月船さらら。

「綺麗な目をした半蔵に、こんな事を言わせたくない」と
そのシーンの撮影数分前に、大幅にシナリオがカットされたエピソードも。

30分のトークはあっという間。
ほとんどのエピソードには、常に笑いがあった。
監督の理不尽さも強引さも情の深さもせっかちさも
全て、思い出すとみんなを笑顔にしてしまうのだ。

トークを終えてロビーに出ると、
次の上映を待っているお客さまの中に
レンセキで録音をしてくださった大御所、久保田幸雄さんの姿があった。
懐かしい思いがこみ上げ、嬉しく挨拶をさせて頂く。

次のテアトル新宿イベントは7日(日)11時の回上映後。
菅孝行氏と脚本の井出真理氏による骨太なトーク。
「<路地>の向こうに広がるもの」。

4月5日6日は、東北フォーラム6劇場を佐野史郎が回る。
4月5日
フォーラム八戸/フォーラム盛岡/フォーラム仙台
4月6日
フォーラム東根/フォーラム山形/フォーラム那須塩原

まだまだ続く、『千年の愉楽』キャラバン!

0 件のコメント:

コメントを投稿