2011年11月26日土曜日

「11・25自決の日」完成披露上映会、大盛況!

昨夜、「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」が
世の中に向かっての第一歩を歩み出した。
立ち見席も完売、それでも当日チケットを求めて
足を運んで下さる方が後を絶たない状況で幕を開けた特別上映会。
会場全体を包む不思議な熱気は、
2008年の「実録・連合赤軍」公開当時を思い出させた。
同時代の、しかし全く真逆の思想を抱いた若者たち。
この非常にシビアで重たい2つのテーマに
敢えて挑んだ若松孝二。

 

 
上映に先立って、若松監督と三島由紀夫役の井浦新(ARATA)、
森田必勝役の満島真之介、古賀浩靖役の岩間天嗣が舞台挨拶を行った。
「11月25日、今日は三島さんたちの命日です」と語り始めた監督、
「ステージの上からの挨拶はおこがましいので、舞台下からご挨拶します」と
集まった観客に謝意を述べた。
続いて、井浦が「この三島さんの命日に、この作品が飛び立っていけることを
本当に嬉しく思っています」と語り、観客に向かって頭を下げた。
満島は緊張のあまり、言葉に何度も詰まりつつ、
自分の思いを言葉にしようと懸命になっていた。
岩間も率直に挨拶の言葉を述べ、出演者が三者三様の挨拶を終えて
本編上映が始まった。

上映終了後、間もなく、ドキュメンタリー監督の森達也氏と
一水会顧問の鈴木邦男氏によるトークショーが始まった。
三島氏らの決起当時、まだ16歳だったという森氏と
森田必勝氏の大学での民族派運動の先輩であったという鈴木氏。
スタンスも思い入れも異なる二人によるトークとなった。
三島氏が、当時の時代状況に影響を受けながら、
楯の会での行動を先鋭化させていく様を
1つ1つ検証しながら語る鈴木氏。
記録映像の使い方について語る森氏。

トーク後半には若松監督も飛び入りで壇上に上がり、
映画ラストシーンに込めた思い、さらには
つい先日クランクアップした「千年の愉楽」について語った。
最後には、客席にいた出演者の篠原勝之(陸上自衛隊富士学校長役)や
「千年の愉楽」に出演した佐野史郎を監督が壇上に呼び上げ、
トークを賑やかにしめくくった。
「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」が
本当の意味で完成した、記念すべき第一日となった。
この先も、続いて制作した「海燕ホテル・ブルー」の公開前イベントや
「千年の愉楽」の編集、音楽作りなど、3つの作品に関する動きが加速する。
年の瀬を前に、エンジン全開の若松監督である。

この先のイベントや作品制作進捗状況など
出来る限り細かくブログにて告知、レポートしていきます。
どうぞよろしくお願い致します。
なお、昨日、足をお運びくださりながらご入場頂けなかった方たち、
申し訳ありませんでした。
来年の公開をどうぞお待ちください。

2011年11月17日木曜日

夢か幻か…怒涛のロケ終了!

終わった。
気付いたら、全てが終わっていた。
普段は静かな須賀利の集落が
熱気に包まれざわめいていた日々。
東京でのクランクインから始まった怒涛の撮影の日々は終わりを告げた。
中本の血の滾りを見せていた男たちの
狂おしいほどの眼差しは、もうどこにもない。
男たちの生き死にを見つめるオリュウの
時空を越えた眼差しも、もはや、どこかへ消えてしまった。
クランクアップ後、静まりかえった集落を見渡して思った。
あれは、夢か幻だったのか…と。

いや、それらは全て、キャメラにしっかりと焼き付けられた。
これから編集され、音付けされるのを待ちながら、
いきいきと息づいているのだ。
高岡蒼佑演じる三好。
高良健吾演じる半蔵。
染谷将太演じる達男。
寺島しのぶ演じる産婆のオリュウは、
彼らを親より先にその手に抱き、
路地の者らが背負わされたものを見つめ、
生きよ、生きよと祈り続けてきた。
生きるとは、何と理不尽で美しくて暴力的で
刹那的で永遠に続く営みであることか。
須賀利の集落の、美しくも寂しげな佇まいが
役者たちの創り出す世界観に深みを与える。
紀州の深い緑の山と、広がる入り江に縁取られた小さな集落。
この美しく静かな路地の風景の中で、
新たなる「千年の愉楽」が誕生した。
怒涛の11日間を終え、静けさを取り戻した集落の中で
目の前から、オリュウや半蔵が去ってしまった寂しさと
1つの世界が誕生したのだという実感に包まれていた。

ロケ中、全くブログが更新できず、申し訳ありませんでした。
これまでの若松組と同じく、バタバタの現場でしたが、
多くの方たちのご協力があったからこそ無事に終えることができました。
何より、東紀州フィルムコミッションの皆さま、
尾鷲市の皆さま、紀北町の皆さま、須賀利のおんばんの会の皆さま、
須賀利の皆さまの日々のご協力と暖かいご支援があったからこそ
わずか11日間というスピードで集中して撮影を進めることができました。
毎日の暖かい励ましの声やご支援の数々、
心から感謝申し上げます。
本当に、ありがとうございました。
映画が完成するまで、これから長い道のりが待っています。
編集、音入れ、音楽作り、ダビング……
映画の心臓とも言うべき大切な作業を経て
1つの作品が生まれます。
どうぞ、楽しみにお待ちください。

2011年11月5日土曜日

クランクイン初日、無事終了

昨日、朝8時に無事ファーストカットの撮影が始まった。
ARATA演じる路地の男が、わが子の出産を目前にして
この世を去る決意を固める。
その目撃者となるのが佐野史郎演じる毛坊主だ。
この作品の重要なエッセンスが濃縮されたシーン。
若松組の常連2人が、渾身の演技を見せて
わずか1時間たらずで終了。
あっという間に次のロケ地へ向かう若松監督。
赤子を産み落とそうといきむ女、
生まれ出ようとする命に、出でよと叫ぶ産婆のオリュウ。
「千年の愉楽」で、路地の男たちの生と死を
常に見守り続けてきたオリュウを演じるのが寺島しのぶ。
寺島演じるオリュウの目がキラキラと輝いて
生まれ来る命を見つめている。
キャメラが回り、もの凄い勢いで撮影が進んでいく。
今回も、若松の早撮りは健在だった。
夕方予定していたシーンの撮影を1時間くりあげて
場所を開けて頂く。
高岡蒼甫演じる青年・三好が、苛立ちを募らせるシーン。
若いエネルギーが出口を求めて彷徨い呻く。
高岡の表情を見つめる監督の口から
満足そうな「オーライ!!」の声が飛び出した。
初日、終了。
これから始まるノンストップの日々に
役者もスタッフも、決意を新たにした瞬間だった。

2011年11月3日木曜日

「千年の愉楽」明日、クランクイン!

本日の若松プロは、昨日までの空気が一変。
一気に緊張が漲った。
(昨日までも、もちろんほどよい緊張感はあったのですが
 その比ではない、漲り方、という意味で・・・)
演出部の車、照明・録音用機材車、撮影車と
それぞれの車に各機材の積み込み。
今回の若松組も、低予算ゆえの少数精鋭。
各自が智恵を絞りつつ、一番効率よい方法は何かを考える。
目的は、1つ。
若松監督がこの作品に込めた思いを形にする、ということだ。
明日の早朝、各自それぞれの動き方で撮影現場に入る。
ファーストカットは、佐野史郎とARATAによる作品冒頭の重要なシーン。
中上健次が描いた、生きることの不条理さとエネルギーと神話的な匂いとが
どのような映像で私たちの目の前に立ち現れてくるのか…。
身震いがするような緊張感と期待感でいっぱいになる。
明日、いよいよクランクイン…。
可能な限り、ロケ現場からのレポートを
このブログにてアップしていきます。