2013年4月17日水曜日

「千年の愉楽」舞台挨拶レポート(広島サロンシネマ)

4月13日(土)「千年の愉楽」10:00の回上映終了後、舞台挨拶に佐野史郎さんと高岡蒼佑さんが来て下さいました。
電車に遅れがあり、佐野さんは上映が終わる少し前にギリギリ到着。
落ち着く時間もないまま控室から場内へ入っていただき、登壇後も佐野さんのマイク第一声は息切れでした。
そんな佐野さんが作ってくださった雰囲気に場内では笑いも起き、すぐにお客様も和んでいました。
実は舞台挨拶で場内に入る直前に、扉の傍でカメラを手に待っていたお客様を見かけ、まだ息切れされていた佐野さんは立ち止まって「写真ですか、いいですよ」と快く応じてくだったりしていました。
高岡さんは監督作品が初めてで、監督からこういう事を学んだというのはすぐには言えないかもしれないが、あの時経験したことを噛みしめながら役者を続けていくとおっしゃってくださいました。
またお客様からの質問にあったご自身の名前の漢字が変わった理由などにも触れてくださりなかなか聞けない内容だったので質問されたお客様も喜ばれたと思います。
佐野さんからは「そろそろ監督の等身大の姿の話もしていかないと供養にならないんじゃないかと思って…」と以前あったテレビ撮影時のお話し等をしてくださいました。
佐野さんはテレビドラマがヒットして、ドラマ撮影時には控室も用意される程の待遇に、若松監督もその時テレビ撮影をされていた事があり、たまたま隣のスタジオだったことがあったそうです。
若松監督は佐野さんに「いいなー佐野は控室があって…」と少しひがんでいる姿だった事や、佐野さんの演技に「佐野さんはテレビっぽい演技ですね」と、そのよそよそしい言い方にも場内は笑いに包まれました。




そして若松監督と佐野さんが(結果的には最後の)お酒を飲んだ時の話で、滅多にない昔を振り返る話をしたそうです。その時に高岡さんの事をとにかく褒めていたよと、佐野さんから高岡さんに伝えていたのが印象的でした。

最後はパンフレットにサインもしてくださり、ご購入されるたくさんの方の列ができました。佐野さんは事前に書く時間がなかったので終わった後にたくさん書いていただき、高岡さんも売り切れたので追加で書いてくださいました。
短い時間でしたがお二人の舞台挨拶にお客様も大変喜んでくださいました。

広島サロンシネマにて絶賛公開中です。

「千年の愉楽」シネマ尾道舞台挨拶レポート

●シネマ尾道舞台挨拶レポート

4月13日(土)。
広島市を後にし、午後より尾道市のシネマ尾道にて佐野史郎さんと高岡蒼佑さん
による舞台挨拶が行われました。
満席を越える120名近くのお客様にご来場いただき、普段なかなか見れない光景
に、支配人・河本、スタッフ一同テンションがあがります。




盛大な拍手でゲストのお二人を迎え、いよいよ舞台挨拶開始。
登壇してすぐに、「今回初尾道ですが、わずか45分しかいれないのが本当に残念
です」と、佐野史郎さん。
「映画の話もしますが、尾道について語っていいですか?」と、マイクを握り映
画の聖地・尾道への思いを語り始めました。
「「東京物語」をはじめとする小津安二郎作品が、私自身の役者人生の軸になっ
ています。「東京物語」の舞台でもあるここ尾道は、役者や映画人 にとって憧
れの地で、いつか必ず行ってみたいと思っていました。今回映画の仕事で来るこ
とができ、すごく嬉しいです。」と、原田芳雄さんへの 思いやご自身の役者論
に至るまで、幅広く語っていただきました。
続いて高岡蒼佑さん。
若松孝二監督への思いや、三好という役柄について熱く語っていただきました。
「今日、テレビの取材が来ているようですが、ワイドショーネタは話しませんの
で(笑)」と笑顔で話す高岡さんのキラキラした瞳に、最前列の若 い女性達の
みならず、常連の年配の女性もうっとりとし…。

後半は、質疑応答。
僅か30分足らずの舞台挨拶は、あっとゆう間に終了。

「また必ず尾道に来ます!」と、佐野史郎さん。
客席から「ぜひ!」と歓声が上がり、尾道のお客様も大満足のアットホームな舞
台挨拶になりました。

佐野史郎さんは、「う~ん。尾道いいなぁ~。」とつぶやきながら尾道駅や劇場
を、カメラでパチパチと。


佐野史郎さん、高岡蒼佑さん。
映画の聖地・尾道へ、ぜひまたゆっくりとお越しください!




「千年の愉楽」は、シネマ尾道にて5月3日まで上映しています。

2013年4月8日月曜日

映像化できない世界の映画化/テアトル新宿最終イベント終了

前日の悪天候から一転、カラリと晴れ渡った日曜日。
テアトル新宿にて『千年の愉楽』のトークイベントが行われた。
「この作品上映する時は、路地の事とかいろいろ
 話していかないとならないな」と話してた若松監督。
それならば!と、企画した、テアトル新宿のファイナルイベントは
「路地の背景に広がるもの」として、
脚本の井出真理氏と評論家の菅孝行氏をお呼びして
わずか30分という時間の中で、
<路地>とは何ぞや。若松孝二は何を描きたかったのか。
シナリオが出来上がるまでに、どのように手探りしたのか…
みっちりと語って頂いた。
井出氏は、若松孝二に「半蔵と三好の物語を軸に
全て、オリュウに還っていくように描いて欲しい」と依頼された事を語り
「〝差別〟は、してる側はその事実をないものとして生きていけるけど
 されている側は、〝ないもの〟として扱われたまま生きていかねばならない。
 それに対していかに抵抗していくか、という物語だと考えた。
 そして、オリュウの抵抗の方法は、力ではなく
 ずっとそこに〝存在し続ける事〟であると考えたんです」と話した。
菅氏は、「中上健次と関わりのあった編集者に
『千年の愉楽』が映画化されるらしい、と話したら
「映像化不可能だろう」という反応だった。
 確かに、あの文学をそのまま縦に映像化したら
 単なる笑い話にもならない作品になっただろう。
 その事を若松さんも井出さんも十分承知で
 だからこそ、原作の骨格は残しつつも、
 全く異なる、極めて論理だった物語に生まれ変わった。
 これの好き嫌いは分かれるだろうけれども」と話した。

さらに、菅氏は、〝高貴で汚れた血〟という言葉が表すもの、
命の入り口と出口を司る存在は最も高貴であるか
最も穢れたものとして扱われるかしかなかった事。
極めて近いその存在が、光と影につくりかえられた事などを
明快に語った。
井出氏は、<路地>の人たちの日常をいかに描くかに腐心し
臓物で油かすを作って行商するミツの存在を作りだした事や
漁業にも加われない状況を三好の一言に込めた事などを語った。
そして、極めて神話的な小説である原作を映像化する象徴として
シナハンで見出した花の窟を語った。
30分はあっという間。
でも、きっと、監督が語りたくて語りたくてしょうがなかった事を
二人が作品を語る事を通して話してくれた30分に
監督はニンマリとしたはず、と思えたテアトル新宿の最終イベントは
無事、そして静かに終了した。
足をお運びくださったお客さま、ありがとうございました。
いよいよテアトル新宿での上映は今週金曜まで。
熱狂的でもなく、淡々と続いている『千年の愉楽』全国公開である。
でも、淡々の内側に沸々と沸き上がっているのである。