2015年10月19日月曜日

2014年1月7日火曜日

年の瀬のFM三重

明けましておめでとうございます。
旧年中、若松プロを支えてくださったみなさま、ありがとうございました。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、年の瀬のFM三重では、2年前の三重県尾鷲市のロケでお世話になった
東紀州フィルムコミッション(当時)の田上孔基さんが出演。
撮影中のあれこれをお話してくださいました。
http://www.fmmie.jp/program/ready/
その模様が、FM三重のサイトにアップされています。

ロケ現場というのは、本当に刹那的で、1つ1つのシーンの撮影が終われば
そこで生まれた空気はあっという間に目の前から消えて行きます。
そのかわりに、永遠にフィルムに焼き付けられていく。
目まぐるしく繰り返される撮影現場において、しかし変わらずずっとあったのが
須賀利という集落が刻んで来た長い時間が作り出した風景。
その中にオリュウノオバたちの路地が生まれ、そして消えて行ったのです。

あのロケの現場をがっちりと全面支えてくださったのが
田上さんをはじめとした東紀州FCの方たちでした。
そして、ロケ中の様々なご不便にも関わらず快くご協力くださった地元の方たち。
その力の大きさは、計り知れなかった……と改めて思い返しています。

若松監督の作品の1つ1つに、そうした縁の下の力持ちがたくさんいます。
そうした方たちに支えられての作品だったと改めて思います。

今年も、多くの作品が生まれ、新たな出会いが生まれて行くことでしょう。
その中にあって、若松監督の旧作も、
新たに生まれていくべく、今も生きているのだなと思います。

息苦しい時代になった…と言われていますが
息苦しくない時代というのが、これまでにあったのかというと
よくわかりません。
自分の頭で考えねばならない切実さが増しているとはいえ
多分、その本質はいつも同じだったのでしょう。

先人たちが、今の時代をどんな風にどんな言葉で語るかな
という想像力を巡らせながら
今年も若松監督作品との新たな出会いをつくり出せたらと願ってます。



2013年12月19日木曜日

今年最後の「千年の愉楽」奄美にて

若松孝二の一周忌も終わり、
若松監督の右腕だった撮影の辻智彦さんの
初プロデュース作品「かなたの子」がWOWOWで始まり、
若松組の俳優たちも、テレビドラマに舞台に映画に活躍を続け、
新たな作品が次々と世の中に「オギャー」と生まれ、
あるいは、過去の作品との新たな出会いも次々生まれて
そうして、月日は流れている。

若松監督のよき理解者であり
小粒の山椒のような味わいを加えてくれる出演者であり
ささやかな酒を酌み交わす仲間であった
ゲージツ家KUMAさんこと篠原勝之さんが
若松監督と北海道を旅した記憶を辿った短編「花喰い」が
文学界1月号に掲載されている。
www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/

生きる事が始まったその瞬間から
死ぬ事を抱えて全ての人が生きる事を
ことあるごとに感じる日々でもあった。

このブログを始めた「実録・連合赤軍」制作準備の動きだしの頃。
「共謀罪」が審議されたり、法政大学で立て看板を巡って学生が逮捕されたり
いろんな出来事が相次いで、若松監督はよく吠えていた。
そして今、特定秘密保護法の強行採決に防衛大綱で防衛力強化、
エネルギー基本計画で強引な原発回帰、怒濤のような激しい流れの中で
若松監督の吠え声は、聞こえてこない。
2013年という年を、忘れないだろう。

そして、この年の締めくくり、
若松孝二一周忌の締めくくりに、
奄美大島にて「千年の愉楽」を上映するのである。
上映後には、出演の井浦新さんと、
音楽の中村瑞希さん、ハシケンさんのトークがある。
作品と出会った奄美のお客さまとともに
どんなトークが繰り広げられるだろうか。


12月22日(日)17:30開場18:00開始
会場 りゅうりゅう館
前売 一般1500円 学生1200円
当日 一般2000円 学生1500円
(未就学児は無料)

そして、年末の大晦日に、ロケでお世話になった
東紀州FCの田上さんがFM三重に出演して
「千年の愉楽」についてお話してくださるという。
12月31日(火)7:30〜のレディオキューブFM三重「READY!」の
「三重映画さんぽ」コーナーにて!
(田上さんのトークは8:40頃の予定)

三重県尾鷲市須賀利でのロケは2011年の晩秋だった。
あの瓦屋根の集落の向こうに見えた尾鷲湾の朝と夕暮れ。
酸素ボンベをポケットに入れた監督と一緒に
海の上の光の反射が刻々と表情を変えていくのを眺めたロケの11日間が
どれだけ豊かな時間だったのか、今になって痛いほど噛み締めている。

田上さんのトークから、どんな須賀利ロケのエピソードが飛び出すか
大晦日の慌ただしい一日のスタートを、ぜひFM三重で!

2013年11月21日木曜日

奄美の地で今年最後の「千年の愉楽」

一周忌が終わり。
各地での上映もおおよそ一区切りし。
次々に新たなる意欲作がスクリーンに登場し。
若松監督の新作が観られる事がもうないのだと再確認する。
今、若松監督が生きていたら、どれだけ吠えただろうと思う。
数年前に「共謀罪」に吠えていた監督を思い出す。
「特定秘密保護法」に与党が暴走していく年の瀬に、
「福島原発」の壮絶かつ悲惨な状況も
2020年オリンピック開催という「国益」の前に
「国益を損なうような情報」である事を理由に、
これまで以上に情報が得られなくなっていくのだろうか、と。
そんな予想が徐々に現実になりつつある悪夢のような今。
しかし、表現は続いていく。
より、切実なものとして、表現は続く。
今年最後の若松監督作品上映会は、
「千年の愉楽」の全編を彩った奄美民謡のその地にて。
『千年の愉楽』上映会&中村瑞希&ハシケン&井浦新トークショーin奄美
日時:2013年12月22日(日)開場時間 17:30/上映開始時間18:00~
会場:りゅうゆう館(鹿児島県大島郡龍郷町浦1837番地)
出演:中村瑞希・ハシケン、井浦新
料金 
前売 一般/1500円 学生/1200円 未就学児/無料
当日 一般/2000円 学生/1500円 未就学児/無料
詳細は
http://www.a-mp.co.jp/diary/diary.cgi?field=2

今年最初に三重で始まった「千年の愉楽」上映は
奄美大島で今年の終わり。
三重と奄美、半島と島、彼の地とこの地、静かにつながった一年。

2013年11月12日火曜日

佐賀の愛すべきミニシアターにて若松孝二と再会

作品は永遠に残るからな、と言い続けた若松監督の言葉を
そのままに辿る時間となった。
佐賀。なかなか、強烈なイメージを喚起しにくい土地ではある。
でも、この市内で、熱い思いと軽やかなフットワークで
ミニシアターの文化と空間をつくりあげる挑戦が続いている。
「シアター・シエマ」by 69'ners Film(シックスナイナーズフィルム)
若松監督も、渚ようこさん通じてのご縁で、「キャタピラー」以降
いくつもの作品を上映して頂き、監督も自ら舞台挨拶に訪れている。
「なかなか、いい映画館なんだよ。
 だけど、お客がそんなに集まってないんだよ。もったいないんだよ」
そんな言葉を監督から聞いていた。
11月10日(日)、佐賀BOOKマルシェという地元のイベントの一環で
69'ners Filmの企画で、「言葉と映画」というテーマのトークイベントが
佐賀の商店街の一角のコミュニティスペースにて行われた。
トークゲストは、若松孝二の映画を語らせたら
とどまる事を知らない熱き思いが溢れ出す社会学者の宮台真司さん。
そして若松作品と言葉(あるいは書籍)という観点から、
近作の制作及び書籍を編集してきた大友麻子もご一緒させていただいた。
司会は、この企画の仕掛人、69'ners Filmの松瀬理恵さん。
時にシャープな論戦で他者の頭脳の追随を許さない宮台さんだが
今回は、実に穏やかに言葉豊かに、そして真摯に、
暗闇のスクリーンで映画を見るという事そのものの「映画性」、
突き抜けられない現実を、突き抜けられない故にその中にとどまるのでなく
そのさらに外側にある「なにか」の輝きを求めて、しかし求めるが故に挫折していく
自分たちの今の日常を生きる中で、そうした作品に出会う事の意味を語り
佐賀のミニシアターへの強いエールを送った。
若松監督が言葉とどう格闘し、そこから映像を紡ぎだしていったか。
近作の思い、さらには遺作となった「千年の愉楽」も
おそらく、母性の映画という側面も指摘されるけれども
路地から出たい、ここから出て生きたいと求めるが故に挫折していく
あの青年たちを描くための題材であったはずである事、
作品を語りながら、いつのまにか、若松監督その人を語るトークとなった。
作品は、常にそこにあり、見るものが、扉を押し開けて入ってくるのを待っている。
夜には、シアターシエマにて「理由なき暴行」(1969年)の上映。
上映前に宮台さんによる短いトークが行われた。

トークは上映後に限る、と思っていたが、宮台さんのトークを聞いて
その考えはくつがえされた。
1969年という時代がどのような時代であったか。
当時の新宿という空間がどのような意味を持っていたか。
電車とは、小田急線とは、網走番外地とは。
映像の中に、脚本の中に、密やかに織り込まれた作り手の意図を
(意識したものも無意識のものも含めて)
ノイズにならない範囲で、前提のものとして共有する事によって
世代を超えて、作品に向き合う素地が作られて行く。
その様子を目の前で実感する事ができた。
そして、スクリーンの中に立ち現れて来た青年たちのつぶやき
彼らをとりまく風景、それら全ての中に
ヒリヒリとした行き場のない思いを抱えていた
あの頃の若松孝二を、しかと目撃する事ができた。
シアターシエマ、若松監督が絶賛していただけあって
密やかに静かな時間の流れる小さなたまり場的なカフェがあり
劇場内の椅子にもソファあり寝椅子あり。
休日の遊び場といえばショッピングモール、という町の中で
ひときわ、その存在感を際立たせていたのである。
そのシエマにて、今週金曜日まで
「若松孝二追悼特集」上映がレイト枠で続いている。
http://ciema.info/index.php?itemid=3255
「理由なき暴行」「欲望の血がしたたる」「水のないプール」を
日替わりで上映している。
少し足を踏み入れるのを躊躇しているとしても。
そこに、日常をぐにゃりとねじまげてくれるような
不思議な時間が待っているかもしれない。
劇場という空間は、お客と劇場と作品の作り手が
それぞれにコミットしながらつくりあげていく場所だと
実感させてくれたシエマでの一日であった。

2013年10月30日水曜日

若松孝二写真展、新宿にて!

「実録・連合赤軍」ロケ佳境、あさま山荘放水シーンが始まった日。
一人の写真家が現地に訪れました。
その名は、グレート・ザ・歌舞伎町さん。
井浦さん(当時ARATA)のお知り合いという事でした。
そして、粉雪と怒号が飛び交う壮絶な現場で
シャッターを切り続けました。

歌舞伎町さんは、「11.25自決の日」のロケでも
バルコニーでの絶叫演説シーンと、
御殿場の自衛隊演習場でのゲリラ撮影の場に現れました。

この2作品の、クライマックスシーンの日にふらりと現れ
その日の若松孝二をファインダーに焼き付けて行きました。

その作品たちが、11月2日〜14日まで、
新宿のBEAMSギャラリーにて展示されます。



題して
GREAT THE KABUKICHO 写真展
若松孝二
11/2(sat)〜11/14(thu) 11:00〜20:00

11月3日には17時〜18時30分まで、
アーティストトークが行われ、
ゲストに井浦新さん、大西信満さんが登壇するそうです。(予約制)

http://www.beams.co.jp/news/detail/2464

若松孝二監督の写真展。
メイキング映像とはまた違った
若松監督の表情たちに会える事でしょう。
ぜひ、BEAMS JAPAN 6FのB GALLERYに足をお運びください。

2013年10月23日水曜日

高円寺フェスにて「胎児…」上映と宮台さん足立さんトーク!

怒濤の一周忌が終わりました。
すっかり秋が深まっています。
台風が次々と太平洋を北上する晩秋です。

今週末も空模様が怪しい中、高円寺フェスが開催されます。
そして、このイベントの一環「本とアートの産直市」の企画として
座・高円寺にて、「胎児が密猟する時」の上映&トークイベントが行われます。



若松監督初期傑作の1本を観て、
若松作品をこよなく愛してくださる宮台真司さんと
同作の脚本・助監督をされた足立正生さんをお招きしてのトーク。
密室での監禁劇、密室の外側の巨大な密室、調教は抑圧なのか解放なのか。

秋の一日、若松監督の作品に、ぜひ会いにいらしてください。