今日は土曜日だった。週休二日制が広まって以来、土曜日は休日というイメージが強くなってしまったが、土曜日は本来、午前中は働き午後は休む日だ。その本来の土曜日が、現場に戻ってきた。
撮影は、若松監督名物「朝飯前」で始まった。朝飯前とは、文字通り朝食の前に撮影をすること。今朝は午前6時、まだ闇に包まれて、山のなかへ出発した。出演者や監督が6時に出発するということは、撮影や照明などのスタッフは、それよりずっと前に現場で準備を始める。そんなハードな撮影でも、「朝飯前」」なのだ。
慌ただしい朝食後は、雪中行軍の場面の撮影。そして、スキー場の近くで、警察に追われる彼らが逃亡するシーン。スキーヤーやボーダーが溢れるスキー場に、キスリング(昔の横長型リュック)を背負った場違いな一団が現れた。映画は、カメラが切り取ったフレームのなかに周囲とは異次元の世界を生み出す
そして、今日は「土曜日」。撮影は午前中で終わり、午後3時過ぎから、「あさま山荘」として使われる予定の若松監督の山荘の庭で、バーベキューパーティが開かれた。メニュー・メインは、雪に「植えられた」松島産の牡蠣の素焼き。牡蠣は、近くに住む若松監督の実弟が差し入れた。
新鮮な牡蠣は、生もイケるが、焼いたほうが美味い。……かつて味わったことがない美味に、一同笑顔がこぼれた。メイキング担当の竹藤佳世が、この日30ン歳の誕生日を迎えたことが伝えられると、みんなから拍手がわき起こった。バース・ディケーキこそないものの、きっと彼女には一生忘れ得ぬ誕生日になったに違いない。
厳しい撮影現場とは異なる親密な空気がそこにはあった。集まった全員が、同じ一つの作品作りにそれぞれの力を出し切っているからこそ生まれる、貴重な時間だった。
日が落ちてからも赤々と燃える焚き火を囲んで、パーティは続いた。
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