惜別のベルリン
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」の最終上映は、ポツダム広場にあるソニーセンター、映画博物館地下の小劇場でした。作品のW受賞がこちらのメディアで伝えられたこともあり、200人ほどの客席は満席。上映後のティーチインも熱気を帯びました。なかでも、自ら俳優だと名乗る一人が、出演者の演技を絶賛していたのが、印象的でした。
私たちは、明日ベルリンを離れます。この1週間が長かったのか短かったのか、わかりません。しかし、ベルリンは私たちの歴史も記す街になりました。42年前、「壁の中の秘事」がこのベルリン映画祭に出品され、映画監督・若松孝二のいまが始まりました。そして、今年、最新作「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」がそのベルリン映画祭で受賞したことは、映画監督としてのひとつの到達点を示しています。
42年前、このベルリンを東西に隔てていた壁は、もうありません。しかし、いまの日本の若い世代は日本の1960~'70年代の事実をほとんど教えられず、その時代を生きた団塊の世代は、若き日々の記憶を青春という壁の彼方に仕舞い込んでいます。この作品を見てくださる多くの方たちが、あの時代への壁、日本の戦後がほんとうに終わりいまが始まった時代への壁を消し去り、現在の日本の姿を直視していただければ幸いです。
サヨナラ、ベルリン!
ありがとう、ベルリン!
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