2008年2月12日火曜日

雪まじりのオールナイト最終回も無事終了 監督はベルリンへ!

再び、更新が途絶えましてすみません。
 今年に入ってから、外国人特派員クラブでの試写会と
会見、阿佐ヶ谷ロフトでのイベント参加、マスコミの取
材など、監督も忙しさを増しています。東京での公開ま
でに、もっともっと、この映画の存在が知れ渡っていく
よう、全力で頑張っております。
 さて、先週土曜日の夜中は、テアトル新宿にて最後の
オールナイトイベントでした。あいにく、夕方から東京
は本格的な雪。お客様の出足にどう響くか、というこち
らの予想に反して、0時には、集まったお客様で劇場ロ
ビーが溢れかえりました。
 しかもこの日、印刷屋さんから直行で届いたばかりの、
映画本「若松孝二 実録・連合赤軍」を、限定先行販売
したので、新作映画について書かれたこの本を、ひと目
見ようというお客様たちの熱気で、ロビーはむせかえる
ようでした。

 お陰さまで、書籍はあっというまに完売! お買い求め頂けなかった方たち、
申し訳ありませんでした。2月20日より、全国書店にて発売です。また、上映劇
場でもお求め頂けます。
 映画と同じく1960年から72年という時代と連合赤軍の歩みの全記録、あさま山
荘に立てこもった吉野雅邦さんからの書簡ほか当事者の声、映画を観られた方達
の寄稿、撮影日記に、監督インタビュー、出演者の声など盛りだくさん。巻末に
は完成台本も付いています。
 
 さて、イベントは、前回と同様、ジム・オルークさん、大友良英さん、勝井祐
二さんのライブでスタート。これまでは多くても2曲だったのですが、今回は3
曲。小さく繊細な音のセッションや、ストリングスが情緒豊かに響き渡る瞬間な
ど、いろいろな表情の音楽に、会場は酔いしれました。演奏の後は、演奏に感動
したお客さんからのかけ声も飛び出しました。
 続いてのメイキング最終章。いよいよ山岳アジトでの粛清が終わり、包囲網に
追いつめられた9人が雪山を越えていきます。そして、4人が逮捕、残った5人
はあさま山荘へ……。
 ますますヒートアップしていく監督、容赦なく役者さんやスタッフを怒鳴りつ
け、みんなを極限まで追いつめていきます。少年兵士を、グサグサ来る言葉で怒
鳴りつける監督、唇をかみしめて、芝居を続ける役者たち。監督を先頭に、全員
がボロボロになりながら駆け抜けた撮影現場、その空気を、メイキングのキャメ
ラは追い続けました。
  メイキングの後は、豪華ゲストによるトークです。崔洋一監督、井筒和幸監
督、阪本順治監督が壇上に上がり、若松監督とのなれそめや、右翼や新左翼など
幅広い監督人脈、絶妙の商売センス、飲み屋でからむ相手のおでこを灰皿でぱっ
くり割ったエピソードなど、抱腹絶倒の秘話を次々披露しました。その中で、崔
監督がもらした言葉。
「さっきのメイキングで、久しぶりに若ちゃんの現場を見ることができて思わず
目頭が熱くなったんだけど、現場での若ちゃんの迫力は、なんか、神々しくさえ
あったね」
 井筒監督はこんなことを言いました。
「25歳の頃の無名の僕のフィルムを、全く面識もない若松さんが、国映で試写を
見てくれて、見終わったらすぐに電話をかけて『面白いのがあるから、買ってや
れ』って、売ってくれた。だから、僕はもう、頭が上がらないんですわ」
 阪本監督が、若松監督が大絶賛している阪本監督のデビュー作について、
「すごくうれしいんですけど、でも、監督は、タイトルを、一度も正しく『どつ
いたるねん』って言ってくれたことがないんです。もう20年、ずっと『どついて
やるねん』って…」と言うと、崔監督も、
「僕もですよ。『月はどこから出た』とか『月は落ちた』とかね」といって会場
は大笑い。
「そういえば、僕のも『ガキ天国』『ガキ天国』言うてたわ」とすかさず井筒監督。
 トークの途中からは、若松監督も参戦。パレスチナ支援の話から、「実録・連
合赤軍」の映画に賭ける思いまでを語りました。
「僕は人が好きだから。右翼も左翼も、何も関係ないの。パレスチナだって、ヤ
クザのシマと同じだよ。自分とこが狭いからちょっと貸してくれって言われて、
ああ、どうぞ、と貸したら、2000年前はここはうちんとこだったなんて言い出し
て、どんどんシマを勝手に広げて、こっちを追い出そうとしてきたら、誰だっ
て、闘うだろ?」
 見ず知らずの若い井筒監督の作品を「面白いから買ってやれ」と連絡した監督
も、パレスチナの闘争にエールを贈る監督も、右翼の集会に単身乗り込んでいく
監督も、筋の通った、若松孝二という人間の生き様だと、改めて思ったのでした。
 トークの後は、『処女ゲバゲバ』と『17歳の風景』の上映でした。母親を殺
し、北へ北へと自転車を走らせる少年のロードムービー。改めて見ると、風景の
中で、どんどん存在が純化していくような少年の姿が、友川カズキさんの音楽と
ともに胸に突き刺さってきました。監督が、今回の連合赤軍の少年兵と、そし
て、今後撮りたいという山口二矢少年の、少年3部作。
 あの、爆発しそうな若い精神、危うく、脆く、純粋な若者の、疾走する生を撮
りたい、という若松監督を動かすものは、17歳でひとり上野へと家出してきた頃
の自分の魂なのかもしれません。
 さて、今日から若松監督はベルリン国際映画祭へ。現地の11日夜に、第一回目
の上映です。ベルリンの地で、「実録・連合赤軍」がどのように受け止められる
のか。現地からのレポートをお楽しみに!
 また、2月28日は、あさま山荘での銃撃戦が終結した日。この同じ日に、テア
トル新宿にて、「実録・連合赤軍」公開直前特別先行上映を行います。21時から
の上映で、24時15分に終了予定です。チケットぴあにて、2月16日からチケット
販売スタートです。一足先に本編を見たい!という方はぜひ!

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