2008年2月14日木曜日

ベルリン国際映画祭 報告03

いよいよ、
「実録・連合赤軍
あさま山荘への道程

上映!


 2月13日午後7時から、ベルリン・ポツダム広場ソニーセンターの「シネスター8」で「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」の上映が始まりました。ベルリン国際映画祭では、上映館を変えながら合計4回上映されます。その記念すべき第1回目の上映場所は、鉄とガラスの建物が深い円形の広場を作るソニーセンターの地下にある巨大なシネコン「シネスター」の第8スタジオでした。


















 シネスター8の前には、上映10分ほど前には50人を超す人が集まっています。そして、上映開始時には、座席の前列数列を除き、800人入るという館内は、約8割埋まっていました。まず、拍手に迎えられた若松監督の舞台挨拶。その舞台挨拶のあと、主催者から43年前の「壁の中の秘め事」を出品したときの写真が手渡されました。このサプライズには、監督も大喜び。











 そして、照明が落とされ、上映開始。この闇が創り出す非日常的空間こそが、劇場で観る映画の醍醐味です。トップシーンの雪化粧した浅間山が、日本から遠く離れたベルリンの巨大なスクリーンに映し出されると、この映画に関わった万感の思いが湧き上がります。若松監督には、それは8、000キロ距離だけではなく、43年の時間を映画によって超えた一瞬でした。
 ベルリン居住中の友人によると、こちらの観客は上映作品が気に入らないと、遠慮容赦なく席を立つそうです。作品感想の第一声は、「席を立つ人が少なくて、驚いた」でした。多くの日本の観客だけではなく、ここベルリンの観客にも、3時間を越える上映時間が、けして長くなかったようです。



 上映後、永田洋子を演じた並木愛枝さんも交えたテーチインは、観客の質問に会場から拍手が湧き、監督の答えにも拍手が湧くほど、ヒートアップします。「43年前に上映されたぼくの作品が今年また上映されたように、この作品がまたいつか、このベルリン映画祭で上映される機会があることを願っています」、と監督。しかし、次の作品の上映時間が迫り、質疑応答は止むを得ず終了しなければなりませんでした。時間切れで質問ができなかった観客から、館外の人混みの中で次々に直接若松監督へ飛ぶ質問……。
 冬のベルリンの、熱い夜でした。

2008年2月13日水曜日

ベルリン国際映画祭 報告02


42年前の参加作品、
「壁の中の秘事」上映

 リアルタイムで報告をお届けするなんて言いながら、これで二日遅れになってしまい、申し訳ありません。取り急ぎ、12日の模様をお伝えします。

 午前中、若松監督は映画祭の本部があるポツダム広場の事務局へ出かけました。「フォーラム部門」に招待された各国の人で熱気があふれる事務局では、若松監督へのインタビューの申し込みなどが相次ぎ、スケジュールが決められてゆきます。
 ポツダム広場は、「ベルリンの壁」があった頃には、建物がない野原でした。東西ドイツの統合後は、ここをかつての繁華街にしようという都市計画が進み、いまではソニーやベンツが手がけた現代的なビル群が立ち並ぶ新都心になっています。そのポツダム広場には、映画祭のIDカードをぶら下げた人達が行き交い、シンボルマークの熊の像が描かれ、映画祭の雰囲気で溢れかえっていました。



 午後は、ベルリン最大の繁華街、かつての西ベルンの中心地・クーダムにある DELPHI劇場で、42年前の出展作品「壁の中の秘め事」が上映されました。上映後は、監督と観客のデスカッション。お客さんたちからは、活発な質問が溢れます。その後、ベルリン在住の友人たちと、かつて「壁の中の秘め事」が上映されたツォー劇場へ出かけました。友人たちの会話では、今回の「実録・連合赤軍」にまつわる人たちの話題が、次々に飛び出します。その祝杯には、懐かしさよりも、その思い出を巡る「いま」がこぼれていました。

ベルリン国際映画祭 報告01


















若松監督は、成田を飛び立ってベルリン国際映画祭に出かけました。
 出発地の東京は、快晴。日本からヨーロッパに向かう空路が延々と越えてゆくシベリアの大地も、果てしなく快晴が広がり、神秘的な表情を見せていました。
 





じつは、このベルリン国際映画祭は、若松監督にとって曰く付きの映画祭です。1966年に出品された「壁の中の秘事」が、日本ではスキャンダルとして受け止められ、作品は国辱映画とまで言われたのです。
 42年後の今年、そのベルリン国際映画祭の「フォーラム部門」に、若松監督渾身の一作「実録・連合赤軍」が、招聘されたのです。若松監督が越えてゆく眼下の白い大地は、その年月を思わせるように濃密でした。


 日本からベルリンへは直行便がなく、フランクフルトやロンドンなどで乗り換えて、最短でも13時間以上かかります。ベルリン・ティーゲル空港降り立ったときには、もうすっかり夜のとばりが降りていました。空港に出迎えてくれたのは、国際映画祭事務局の日本人女性がと青年2人。三人とも、ボランティアだそうです。そのまま、宿泊先のホテルに向かい、翌日からの打ち合わせ。その後、もちろんビールで乾杯。さすがに、ビールの宝庫だけあって、長時間のフライトに疲れた体に、染み通るのでした。
 永田洋子を演じた並木愛枝さんも、ロンドン経由で到着。いよいよ映画祭での若松監督の活動が始まります。


















(お詫び:ベルリンと日本の時差は8時間。ホテルの部屋からダイアルアップが使えないなど、アクセスがなかなか上手く行かず、すでに夜が明けて12日の活動が始まろうとしています。なるべくリアルタイムでUPしてゆきますが、遅れが出る場合もあります。ご容赦ください)

2008年2月12日火曜日

雪まじりのオールナイト最終回も無事終了 監督はベルリンへ!

再び、更新が途絶えましてすみません。
 今年に入ってから、外国人特派員クラブでの試写会と
会見、阿佐ヶ谷ロフトでのイベント参加、マスコミの取
材など、監督も忙しさを増しています。東京での公開ま
でに、もっともっと、この映画の存在が知れ渡っていく
よう、全力で頑張っております。
 さて、先週土曜日の夜中は、テアトル新宿にて最後の
オールナイトイベントでした。あいにく、夕方から東京
は本格的な雪。お客様の出足にどう響くか、というこち
らの予想に反して、0時には、集まったお客様で劇場ロ
ビーが溢れかえりました。
 しかもこの日、印刷屋さんから直行で届いたばかりの、
映画本「若松孝二 実録・連合赤軍」を、限定先行販売
したので、新作映画について書かれたこの本を、ひと目
見ようというお客様たちの熱気で、ロビーはむせかえる
ようでした。

 お陰さまで、書籍はあっというまに完売! お買い求め頂けなかった方たち、
申し訳ありませんでした。2月20日より、全国書店にて発売です。また、上映劇
場でもお求め頂けます。
 映画と同じく1960年から72年という時代と連合赤軍の歩みの全記録、あさま山
荘に立てこもった吉野雅邦さんからの書簡ほか当事者の声、映画を観られた方達
の寄稿、撮影日記に、監督インタビュー、出演者の声など盛りだくさん。巻末に
は完成台本も付いています。
 
 さて、イベントは、前回と同様、ジム・オルークさん、大友良英さん、勝井祐
二さんのライブでスタート。これまでは多くても2曲だったのですが、今回は3
曲。小さく繊細な音のセッションや、ストリングスが情緒豊かに響き渡る瞬間な
ど、いろいろな表情の音楽に、会場は酔いしれました。演奏の後は、演奏に感動
したお客さんからのかけ声も飛び出しました。
 続いてのメイキング最終章。いよいよ山岳アジトでの粛清が終わり、包囲網に
追いつめられた9人が雪山を越えていきます。そして、4人が逮捕、残った5人
はあさま山荘へ……。
 ますますヒートアップしていく監督、容赦なく役者さんやスタッフを怒鳴りつ
け、みんなを極限まで追いつめていきます。少年兵士を、グサグサ来る言葉で怒
鳴りつける監督、唇をかみしめて、芝居を続ける役者たち。監督を先頭に、全員
がボロボロになりながら駆け抜けた撮影現場、その空気を、メイキングのキャメ
ラは追い続けました。
  メイキングの後は、豪華ゲストによるトークです。崔洋一監督、井筒和幸監
督、阪本順治監督が壇上に上がり、若松監督とのなれそめや、右翼や新左翼など
幅広い監督人脈、絶妙の商売センス、飲み屋でからむ相手のおでこを灰皿でぱっ
くり割ったエピソードなど、抱腹絶倒の秘話を次々披露しました。その中で、崔
監督がもらした言葉。
「さっきのメイキングで、久しぶりに若ちゃんの現場を見ることができて思わず
目頭が熱くなったんだけど、現場での若ちゃんの迫力は、なんか、神々しくさえ
あったね」
 井筒監督はこんなことを言いました。
「25歳の頃の無名の僕のフィルムを、全く面識もない若松さんが、国映で試写を
見てくれて、見終わったらすぐに電話をかけて『面白いのがあるから、買ってや
れ』って、売ってくれた。だから、僕はもう、頭が上がらないんですわ」
 阪本監督が、若松監督が大絶賛している阪本監督のデビュー作について、
「すごくうれしいんですけど、でも、監督は、タイトルを、一度も正しく『どつ
いたるねん』って言ってくれたことがないんです。もう20年、ずっと『どついて
やるねん』って…」と言うと、崔監督も、
「僕もですよ。『月はどこから出た』とか『月は落ちた』とかね」といって会場
は大笑い。
「そういえば、僕のも『ガキ天国』『ガキ天国』言うてたわ」とすかさず井筒監督。
 トークの途中からは、若松監督も参戦。パレスチナ支援の話から、「実録・連
合赤軍」の映画に賭ける思いまでを語りました。
「僕は人が好きだから。右翼も左翼も、何も関係ないの。パレスチナだって、ヤ
クザのシマと同じだよ。自分とこが狭いからちょっと貸してくれって言われて、
ああ、どうぞ、と貸したら、2000年前はここはうちんとこだったなんて言い出し
て、どんどんシマを勝手に広げて、こっちを追い出そうとしてきたら、誰だっ
て、闘うだろ?」
 見ず知らずの若い井筒監督の作品を「面白いから買ってやれ」と連絡した監督
も、パレスチナの闘争にエールを贈る監督も、右翼の集会に単身乗り込んでいく
監督も、筋の通った、若松孝二という人間の生き様だと、改めて思ったのでした。
 トークの後は、『処女ゲバゲバ』と『17歳の風景』の上映でした。母親を殺
し、北へ北へと自転車を走らせる少年のロードムービー。改めて見ると、風景の
中で、どんどん存在が純化していくような少年の姿が、友川カズキさんの音楽と
ともに胸に突き刺さってきました。監督が、今回の連合赤軍の少年兵と、そし
て、今後撮りたいという山口二矢少年の、少年3部作。
 あの、爆発しそうな若い精神、危うく、脆く、純粋な若者の、疾走する生を撮
りたい、という若松監督を動かすものは、17歳でひとり上野へと家出してきた頃
の自分の魂なのかもしれません。
 さて、今日から若松監督はベルリン国際映画祭へ。現地の11日夜に、第一回目
の上映です。ベルリンの地で、「実録・連合赤軍」がどのように受け止められる
のか。現地からのレポートをお楽しみに!
 また、2月28日は、あさま山荘での銃撃戦が終結した日。この同じ日に、テア
トル新宿にて、「実録・連合赤軍」公開直前特別先行上映を行います。21時から
の上映で、24時15分に終了予定です。チケットぴあにて、2月16日からチケット
販売スタートです。一足先に本編を見たい!という方はぜひ!

2008年1月11日金曜日

新たな年も、濃密なオールナイトで幕開け

 
 
東京公開が近づき、慌ただしくなって参りました。イベントレポートが遅くな
り、すみません。
 1月5日、車も人も少ないお正月の新宿でのオールナイトイベント第三弾。テ
アトル新宿は再び、濃密な空気に満たされました。
 まず、壇上に上がったのは、シャンソン歌手の和田山奈緒さん。劇中、遠山さ
んと重信さんの別れのシーンで流れる「さくらんぼの実るころ」は、彼女の歌声
です。この歌は、パリ・コミューンの5月革命のとき、バリケードの中で若者た
ちによって口ずさまれたと言われています。この、愛しく哀しい歌声に、生きて
再び会うことのかなわなかった若い二人の姿がまぶたに浮かびました。
 続いて、無事ビザを取得し来日したジム・オルークさんが、大友良英さんと、
第一回に出演した勝井祐二さんとのセッションを聴かせてくれました。大友さん
が指で弦をこすれば、ジムさんは木琴のバチで弦を揺らします。勝井さんのバイ
オリンの響きがそこにかぶさります。3人の音が、自由にくっついたり離れたり
しながらの個性的なセッションでした。1曲が終わった後も、思いがけず、もう
一曲のプレゼント。お客さんはたっぷりと堪能してくださったことでしょう。

 













続いて「実録・連合赤軍」のメイキングVol.3の上映。いよいよ、撮影は総括
のクライマックスに。仲間の総括は凄まじい勢いで進み、粛清された同志たちは
次々と現場を去っていきます。どこまでが現実でどこまでがお芝居なのか。どこ
までの意識が自分のもので、どこからが演じている役の意識なのか。山岳ベース
で繰り広げられる総括。それを時に怒り、時に励ましながら(ほとんどの場合、
怒り、の方でしたが)演出をつけていく監督。役者さんと監督とのガチンコの勝
負が続きました。
 休憩を挟んで、トークが始まりました。今回は、右翼の鈴木邦男さんと、元右
翼で、今は非正規雇用の労働運動などに取り組む雨宮処凛さんがゲストです。司
会は今回も平岡正明さん。
「映画はやばかった。打ちのめされて、見終わった後、立ち上がれなかったくら
いショックだった」と、当時まだ生まれていなかった雨宮さんが、まず、映画の
感想を話しました。さらに、「自己批判、総括のシーンと、現代のネット上の自
傷グループの姿とが重なって見えた。革命が禁じられた21世紀、政治への回路が
絶たれた結果、自傷系に行き、同じような総括をしていることが、興味深かった
ですね」と話す一方で「これまで、あの当時の話を聞いていても、いまいちピン
とこなかったのが、本当に革命を起こせると確信できた激動の時代だったのだ、
とリアルに感じることができました」とコメント。
 鈴木邦男さんは「映画を観ただけではわからなかったが、メイキングを見て、
ああやって監督は俳優を追いつめていたのか、と思いましたよ。これだけ役者さ
んが変わっていくのならば、これは映画なんだ!と騙して集めて、実際に革命が
できてしまうのでは(笑)」と話しました。
「プレカリアートの運動(今の非正規雇用の若者たちの労働運動)は、思想では
ないです。60年代70年代は思想から入ってますよね。でも、今の運動は、本当に
食えない、生きていけない、という怒りから来ていますから。それが大きな違い
かな」と話す雨宮さんに「特別変わった人間ではない。普通に正義感から怒りに
駆り立てられてやったんです。あなたがあの時代にいれば、間違いなくやってま
すよ」と鈴木さん。
 話は、監督のガサ入れの事にまで及び、トークは盛り上がりました。「私も、
よど号の人と北朝鮮で会った後、ガサ入れされましたよ。しかも、有本さんの拉
致事件がらみってことで。当時私8歳ですよ。関係してるわけないじゃないです
か」と雨宮さんの思いがけないエピソードも。

  濃密なトークの後、65年のベルリン国際映画祭で上映され「国辱映画」と大騒
ぎになった『壁の中の秘事』と、足立正生さんがモデルだという『餌食』の2本
立てと続きました。
 前者は、終わらない戦後、団地の窒息しそうな空間、爆発しそうな浪人生。
 後者、は、レゲエをひっさげて日本へ帰ってきた男性を待ち受けていた、高度
成長に浮かれる日本。
「革命」を「音楽」に置き換えて作ったのだ、と監督が語るこの作品を貫くの
は、陽気に哀しい、乾いたレゲエのサウンド。どちらも、衝撃のラストです。
 今回は、全体に時間が長く、終了したのはすでに6時近く。東の空が明るんで
いました。
 空気の中に、どこか春のなま暖かさを感じました。
 いよいよ次回がラストです。皆さま、ぜひテアトル新宿でお会いしましょう!

2007年12月22日土曜日

シネマスコーレ初日、各回ほぼ満員でした!

 

 
 

 


 
 





本日22日(土)、名古屋のシネマスコーレにて、ついに公開初日を迎えました。
 シネマスコーレでは、初回を朝の8時10分から、しかも、初回のみ700円とい
う特別感謝価格にて上映するという試みをしています。休日のこんな朝早くか
ら、果たしてお客様は足を運んでくださるのか・・・・一抹の不安の入り交じっ
た思いは、8時前から並んで待ってくださっていたお客様の姿によって吹き飛ば
されました。
 初回から18時40分のラストの回まで、毎回、会場はほぼ満席となりました。
 冷たい雨の中、傘をさして劇場前に集まってくださったお客様の姿に、胸が
いっぱいになりました。本当に、すばらしい初日を迎えることができました。あ
りがとうございます。

 各回上映後に、若松監督、ARATAさん、並木愛枝さん、地曵豪さん、大西信満
さんの挨拶と、会場でのティーチインが行われ、地曵さんが思わず「お客様の姿
が迫ってくる感じがして、怖いほどだった」と洩らすほど、次々とストレートな
言葉が飛び出しました。思わず質問しながら、感極まって泣き出した方、「万感
胸に迫る思いだ」と語って下さった方、「あまりに衝撃的な遠山さんの粛清シー
ン、撮影現場はどうだったのか」「一体、森恒夫は何を間違えて、あのような粛
清へと至ったと思うか」「実際に連合赤軍の兵士だった方たちは、この作品をど
う見ておられるのか」・・・・。


  
























遠山さん粛清の場面について、永田洋子さんを演じた並木さんは「状況が少し
でも違っていれば、本当は遠山さんと自分は親友になれたのかもしれない、とい
う気持ちになり、辛くて仕方がなかった。実際の永田さんも、もしかしたらそん
な思いを抱いていたのではないか」と語りました。森氏の過ちは何だったと思う
かと問われた地曵さんは「簡単に、ここで一言では言えない。人間の感情は日
々、揺れ動いていく。ただ、自分自身は、あの状況にどんどん追いつめられ、ど
うやってこの集団を維持してくかということに必死になっていた」と話しました。
 監督は「連合赤軍の若者を、権力の側から一方的に描いた映画や、ただ暴力と
セックスばかりを強調して描いた映画しかない状況では、監督として死んでも死
にきれなかった。60年代の出来事を含め、嫌なものは嫌だ、と声をあげ、立ち上
がった若者たちの生き方を、きちんと残しておきたかった。最後の少年の叫び
は、今、この映画を観ている一人一人に向けてのメッセージでもある。今の自分
たちは、嫌なものに対しては嫌だ、という生き方をしているかどうか」と語りま
した。

  二回目の上映後、一人の女性が監督にそっと歩み寄り、小さなお年玉封筒を差
し出しました。驚いた監督は「頂くわけにはいかない」と断りましたが、女性は
「ぜひ、みんなで美味しいものでも食べてください」と言い、名前も言わず足早
に立ち去っていかれました。監督が封筒を開けると、中には、新札の1万円札が
5枚。監督は言葉を失いました。さらに、この女性が、坂東さんの役を演じた大
西さんに「私はあの時代、血を流し損ねた人間。その落とし前をつけるために、
今朝は自分の手を切って、血を流してから見に来ました」と、手の傷を見せてい
たことがわかりました。
「長い監督人生の中、こんなことは初めての経験。あの映画を作ってくれてあり
がとう、という気持ちを伝えようとしてくれたのだろうか。こんな人と出会えた
だけでも、あの映画を作ってよかった」と監督は言いました。
「もう一度、見に来ます」「自分にも、今、すべきことがあるんじゃないかと思
えた」「3時間10分があっという間だった」
 上映後、皆さまからかけて頂いた言葉です。
 先日の「別冊カドカワ」のインタビューで監督が話していた言葉を思い出しま
した。
「映画っていうのは、スクリーンの上でのお客さんとのケンカだからね」
 今日、「実録・連合赤軍」と対話してくださった全てのお客様に、心からの感
謝を申し上げます。
 そして、これから劇場に足を運んでくださる皆さま、心から、お待ち申し上げ
ております。

2007年12月18日火曜日

公開記念オールナイトイベント第二弾、ヒートアップ!

 
先週の土曜日、オールナイトイベント第二弾、テアトル新宿は、またまた熱気
に包まれました。
 残念ながら、ビザが間に合わずに演奏できなかったジムさんがニューヨークか
ら送ってくれた声のメッセージでスタートしたオールナイト。平岡正明さんの、
味わいとネタが満載のトークを挟んで登場した渚ようこさんの歌声と高橋ピエー
ルさんのギターで、場内は1960年代、70年代の空気に満たされました。
「ママ ぼくでかける ぼくのお巡り殺しに ぼくのみんなを殺しに」(ゆけゆ
け二度目の処女)
 演奏できなかったジムさんの分まで、渚さんは、何曲も歌い続けました。そし
て、ラストは、「実録・連合赤軍」の劇中歌としても使われている「ここは静か
な最前線」(天使の恍惚)
 連合赤軍事件が明るみに出て、人々が衝撃を受けている頃に上映、劇中と同じ
ように現実でも交番が爆破される事件が起きて、大騒ぎになった作品の主題歌です。
 















 


  ライブの後、「実録・連合赤軍」メイキングVol.2の上映を挟んで行われた
トークが、かなりの荒れ模様となりました。元赤軍派議長の塩見孝也さん、元連
合赤軍兵士の植垣康博さん、元ブントの平野悠さんらを迎えてのトークですか
ら、荒れないはずがなかったとも言えます。
 元議長として、赤軍派の路線と、その後の連合赤軍事件の総括について語る塩
見さん、現場のコマンドとしての極限を語る植垣さん。その植垣さんに「へらへ
らするなよ!もう少しうなだれろよ!」、連合赤軍事件が、当時の新左翼活動家
にどれほどのショックとダメージを与えたかを考えてくれ、と思わず叫んだ平野
さん。
 連合赤軍事件によって、それぞれがこの何十年もの間、背負い続けているもの。
 決して総括しきれないもの。
 会場からの問いかけなどもあり、予定時間を上回ってトークは続きました。
 このトークの模様は、来年2月発売予定の書籍「実録・連合赤軍」(朝日新聞
社刊)に一部収録する予定です。
 その後、ヒートアップした会場で、監督のレトロスペクティブ上映と続きました。
 逃亡中の活動家集団をかくまう孤高のテロリストを描いた「セックスジャッ
ク」(1970)と、バブルに沸く日本で、かつて新宿騒乱で警官に頭を割られ、今
はひっそりと喫茶店を営む男性を描いた「われに撃つ用意あり」(1990)。
「われに撃つ用意あり」のラストは、エンドロールのバックに、ずっと1968年の
新宿騒乱のモノクロ映像が流れていきます。そして、その映像は、いつしかネオ
ン眩しい東京の夜景の中に埋もれていきます。何が変わったのか。何が見えなく
なったのか。何も変わっていない。そこにある。
 そんな監督のまなざしを感じました。
 冷え込みの厳しい早朝5時半に、イベントは終了しました。みなさんからのア
ンケートには「久しぶりに若松作品にひたれた」「トークバトル、おもしろかっ
た」「皆さん、とても情熱的で心にひめた思いのある人」といった言葉がありま
した。足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
 朝焼けを横目に、自転車を走らせながら、トークの時の数々の言葉と、「われ
に撃つ用意あり」の原田芳雄さん扮する主人公の静かな闘志を、思い出しまし
た。熱いイベントの一夜となりました。
 
 さて、今月8日から14日まで、全国どこよりも先駆けての公開となった宮城県
大崎市のシネマリオーネ古川では、連日、さまざまな世代のお客さまが劇場に足
をお運びくださいました。9日の函館映画祭のクロージング上映にも、若松監督
と坂東國男役の大西信満さんが招かれ、上映後の討論会では、濃い討論が交わさ
れました。
 
 そしていよいよ、今週末より、名古屋のシネマスコーレにて封切りです。
 22日(土)の初日は、若松監督、ARATAさん(坂口弘役)、地曵豪さん(森恒
夫役)、並木愛枝さん(永田洋子役)、大西信満さん(坂東國男役)の舞台挨拶
もあります。
 ぜひ、劇場に足をお運びください。