10:00の上映終了後、御登壇されたお二人は、12:00の合図を待って、観客の皆様とご一緒に、沖縄戦の戦没者の方々へ黙祷を捧げらました。
「この日の沖縄に、若松監督の映画と一緒に来られた事を感慨深く思う」「大切な日に、この作品の上映に足を運んでいただき嬉しい」とごあいさつ。前日とは違う、おごそかな空気の中舞台あいさつがスタートしました。
更にこの日は、運命的な出来事が重なりました。なんと、『千年の愉楽』の音楽を担当されたハシケンさんが沖縄入りされていたのです。井浦さん、高岡さんとは初対面ながら、飛び入り参加をご快諾くださり、奇跡の舞台あいさつが実現しました。
エンディングテーマ『ばんばい』の歌詞が監督から届いた際、ハシケンさんは、歌詞を読んだ途端、曲が浮かんだのだそうです。出来上がった曲を聞いた監督も、一発OKだったのだとか。
監督が、どのように映画と音楽を結びつけてきたのかを、全然知らなかった、という井浦さんと高岡さんは、お客様と同様にハシケンさんの御登壇を喜ばれ、ハシケンさんのお話に耳をかたむけていました。
「奄美の曲なのに、遠く離れた土地、三重の路地の風景に、不思議なぐらい、風や空気と同じようにとけ込んでいた。曲を聞くと、路地の階段をトントントンと
登る風景が目の前に広がるよう。」と井浦さん。「三好が命を断つシーンの撮影のとき、スタンバイ中、監督が奄美の曲をずっとかけていてくれた。聞いている
うちに気持ちよくなり、いつの間にか、気を失っていた。気づいたら撮影が終わっていた」と高岡さん。三好が乗り移っていたのかもしれないですね。
あまり知らない、若松監督と音楽との関係を覗き観た、ステキな舞台あいさつでした。
2回目の上映終了後、ハシケンさんも続けて御登壇いただきました。音楽のお話はもちろん、ハシケンさんからの映画への感想や、お二方の登場シーンを観ての感想、お互いへの質問等、トークは大変盛り上がりました。
そして、井浦さん、高岡さん、ハシケンさんを沖縄へお迎えしての濃密な3日間。最後の最後に信じられない出来事が待っていました。間もなく東京へ帰られる
井浦さんと高岡さん、そしてお客様へ向け、ハシケンさんからの曲のプレゼント、というスーパーサプライズ。奄美民謡の面影が漂う美しいメロディーにのせ、
強くて優しい島の姿を歌った名曲『美しい島(くに)』( http://www.youtube.com/watch?v=c7uz_Iy_Y-c
)をアコースティックギターで弾語りしてくださったのです。
先程までの楽しい空気が一変。会場中が美しい音楽に酔いしれ、うっすらと涙を浮かべる方の姿も。井浦さんと高岡さんも、客席で、ご堪能されました。
最後はお三方揃って、名残を惜しみながら最後のサイン会。最後まで変わらずご丁寧な対応に、皆さん感激されていました。
『キャタピラー』の完成後、若松監督から桜坂劇場に突然電話がかかってきました。「映画ができたから、プリント(35mmフィルム)を送っといた。
沖縄で最初にやっていいから、観といて。」と。約束通り監督は、慰霊の日に合わせ、来沖、『キャタピラー』は全国に先駆け、沖縄で先行上映をさせていただ
きました。
あれから3年。監督の思いを受け継ぐ井浦さん、高岡さんが、慰霊の日の沖縄にいらっしゃったことに、運命を感じます。
ここ数年、沖縄は、若松監督と共に夏を迎えています。今年も、本格的な夏がスタートしました。
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