2012年6月20日水曜日

中上さんを指先に感じて…黒田さん200枚ライブペイント完成!

東北で監督が劇場を回った3日間。
その同じ3日間、都内では、監督の盟友・黒田征太郎さんが
『千年の愉楽』のポスターを手描きで200枚
ライブペインティングしていた。



 

本日の黒田さん。
BGMは松田優作さんのベストアルバム。
「優作は中上さんと会いたがっていたんだ。
 でも、会えないまま、二人とも逝っちゃったから。
 だから、今日は二人を連れて来たんだ」と黒田さん。
白いポスターを目の前にして、
考え込む時間はわずか数秒。
汲めども尽きぬ泉のように、
次から次へと、黒田さんは、千年の愉楽の世界を
B全の紙の上に描き出していく。
先日、見学に来ていた学生たちに、黒田さんはこう話していた。
「僕はね、描く前に考えないんです。
 じっくり構成を…ということを、一切しない。
 もともと、こういうタチなんですね。
 それに、描く前に考え込むって、自分というよりも
 他人の評価を気にして、ほめられたいから、
 考えてしまうんだと思うんですよ」
今日も、描きながら、こう語っていた。
「僕は、ヒトにあれこれ言われるのが好きじゃない。
 僕がいいと思ったらいいんだ」
黒田さんの指先から、中上さんの気配がほとばしる。
中上さんへの愛情を込めて、
中上さんの『千年の愉楽』の行間に立ち上る情景に愛情込めて
黒田さんが、そこに魂を込めていくのを感じる。
その表現の瞬間には、他者の評価など、入り込む隙はない。
心が震えるような、ライブペインティングだった。
200枚、描き終えた時、黒田さんが、ラストの一枚に
中上さんへのコトバを書き添え、ペンシルを置いた。
「おわり!」
汗の光った黒田さんの顔に、笑みが浮かんだ。
最高の瞬間に、立ち会えたと思った。

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