2011年11月5日土曜日

クランクイン初日、無事終了

昨日、朝8時に無事ファーストカットの撮影が始まった。
ARATA演じる路地の男が、わが子の出産を目前にして
この世を去る決意を固める。
その目撃者となるのが佐野史郎演じる毛坊主だ。
この作品の重要なエッセンスが濃縮されたシーン。
若松組の常連2人が、渾身の演技を見せて
わずか1時間たらずで終了。
あっという間に次のロケ地へ向かう若松監督。
赤子を産み落とそうといきむ女、
生まれ出ようとする命に、出でよと叫ぶ産婆のオリュウ。
「千年の愉楽」で、路地の男たちの生と死を
常に見守り続けてきたオリュウを演じるのが寺島しのぶ。
寺島演じるオリュウの目がキラキラと輝いて
生まれ来る命を見つめている。
キャメラが回り、もの凄い勢いで撮影が進んでいく。
今回も、若松の早撮りは健在だった。
夕方予定していたシーンの撮影を1時間くりあげて
場所を開けて頂く。
高岡蒼甫演じる青年・三好が、苛立ちを募らせるシーン。
若いエネルギーが出口を求めて彷徨い呻く。
高岡の表情を見つめる監督の口から
満足そうな「オーライ!!」の声が飛び出した。
初日、終了。
これから始まるノンストップの日々に
役者もスタッフも、決意を新たにした瞬間だった。

2011年11月3日木曜日

「千年の愉楽」明日、クランクイン!

本日の若松プロは、昨日までの空気が一変。
一気に緊張が漲った。
(昨日までも、もちろんほどよい緊張感はあったのですが
 その比ではない、漲り方、という意味で・・・)
演出部の車、照明・録音用機材車、撮影車と
それぞれの車に各機材の積み込み。
今回の若松組も、低予算ゆえの少数精鋭。
各自が智恵を絞りつつ、一番効率よい方法は何かを考える。
目的は、1つ。
若松監督がこの作品に込めた思いを形にする、ということだ。
明日の早朝、各自それぞれの動き方で撮影現場に入る。
ファーストカットは、佐野史郎とARATAによる作品冒頭の重要なシーン。
中上健次が描いた、生きることの不条理さとエネルギーと神話的な匂いとが
どのような映像で私たちの目の前に立ち現れてくるのか…。
身震いがするような緊張感と期待感でいっぱいになる。
明日、いよいよクランクイン…。
可能な限り、ロケ現場からのレポートを
このブログにてアップしていきます。

2011年10月27日木曜日

「11・25自決の日」まもなく完成披露上映!

「千年の愉楽」クランクインに向けて日々慌ただしい若松プロ。
昨日もワードローブにてメインキャストの衣裳合わせ。
その後、キャストと監督が、焼き鳥をつつきながら
この作品に込めた思いを語り合った。
生まれ、死んで、また生まれていく人間。
命の不条理と命の讃歌を、若松監督と俳優たちが
どう描き出していくか。
さて、ロケと同時並行で準備を進めているのが
今年春に撮影した「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」の
完成披露上映会。
三島由紀夫氏が防衛庁で自決を遂げた11月25日という
その同じ日に、テアトル新宿にて1回限りの上映会を行う。
昭和を象徴するあの出来事に至るまでの、三島氏と若者たちの魂の軌跡を
若松監督がどう映像化したのか、乞うご期待!
そして、三島クランクアップ後すぐにインした
「海燕ホテル・ブルー」も来春以降公開を予定。
荒野の密室劇を得意とした60年代若松プロの作風が
再び蘇ったと関係者の間では不思議な盛り上がりをみせている。
公式サイトで予告編、公開中。

2011年10月21日金曜日

衣裳合わせ

「千年の愉楽」クランクイン直前になり
キャストもほぼ全て確定した。
若松組の常連キャストが脇を固めつつ
若手も素晴らしい俳優陣が揃った。
若松監督のボルテージも日々上がり続けている。

昨日は、ワードローブにて衣裳合わせ。
衣裳の宮本まさ江さんの手によって
次々と「千年の愉楽」の人物が生まれ出てくる。
せっかちな若松監督も「さすがプロだな・・・」とうなる
手さばきの良さだ。

来週は、スタッフが2名、ロケ地の尾鷲に先乗りし
準備をスタートさせる。
今回のロケ準備にあたっては、東紀州フィルムコミッションの方に
全面的に協力して頂いている。
これほど間際になってのロケ地決定であったが
効率的に準備を進めていけるのは、東紀州FCのおかげ。
心から感謝を申し上げたい。

2011年10月11日火曜日

「千年の愉楽」、来月クランクイン決定!

しばらく更新していない間に、
若松プロでは着々と撮影の準備を進めていた。
今年、「三島由紀夫」と「海燕ホテル・ブルー」と
立て続けに2本撮影した若松監督だが、
その勢いは、止まらない。
来月には、中上健次氏原作「千年の愉楽」がクランクインする。
先週、キャメラマンと監督と脚本家と共に、
ロケ地を探すべく、中上氏を育んだ紀州の地へ足を運んだ。
眼前に海を臨み、背後に迫る緑の山々に囲まれた、路地の風景。
中上作品に色濃く漂う、路地の空気。
その空気を求めて、尾鷲市入りした監督を待ち受けていたのは……


東紀州フィルムコミッションの方のご尽力で
まさにイメージにぴったりの集落が見つかった。
昭和の趣ある家々の間を縦横にめぐる石段。
到着した日は小雨に濡れた風景だったが
翌日は一転、輝くばかりの青空。
眼下の尾鷲湾が、キラキラと輝いている。
風景を見つめる監督の目がキラリと光った。
イメージがぐんぐんと膨らんでいく。
「オリュウがこの石段を、駆け上っていくんだな。
 そしてパンだ。この集落の全景が…」
横でうなずく、キャメラマンの辻智彦。
台風被害などもあり、ロケ地探しに頭を悩ませていたここ数週間だったが
素晴らしい集落と出会い、一気に見通しが開けた。
脚本家の井出真理も、監督が語る路地のイメージを現地で共有しながら
第二稿を練り直した。
おんばんの会という婦人会の方たち、須賀利の地元の方たち
撮影中はいろいろな形で地元の方のご協力を頂きながら
来月、ロケがスタートする。
クランクインまで、もうあと3週間。
一気に慌ただしくなってきた若松プロである。

2011年8月29日月曜日

三島&海燕、予告編完成!

先日、ジェイフィルムにて三島と海燕の予告編を編集。
2分弱という短い間に、いかに作品のエッセンスを盛り込むか。
本編をいかに濃縮させていくか。
濃縮させつつ、観た人の頭にやきつかせつつ、
そして、これ自体のリズムで、どうまとめ上げるか。
予告編という短い作品だ。
一日で2本の予告編が完成した。
海燕の方は、ジェイフィルムの坂本さんの力作に
若松監督が若干のアレンジ。
若い感性と監督の風合いが解け合った。


この日は午後、船戸与一氏に会う。
「海燕ホテル・ブルー」の題字を書いて頂くためだ。
躍動するような骨太な字を書く船戸氏は、行きつけの高円寺の焼き鳥屋
(三島のラストカットを撮影した場所でもある)の
一徳のお店の文字を書いてもいる。
そしてこの日も、素晴らしい題字を書いて頂いた。
そして明日はいよいよ、海燕のダビング。

2011年7月25日月曜日

三島ダビング終了

昨日、今日と、2日間にわたり、
シネマサウンドワークスにて「三島」のダビングを行った。



三島の息づかい、衣擦れの音、風の音、
遠くに響く怒号、ため息、過ぎゆく電車の音。
そして、雅楽の音と板橋さんのピアノの音。
改めて思うのは、映画とは実に何層にも重なった表現だということ。
多くは語らず閉ざした口元のかすかな震え、
額を流れていく汗、どこかできこえる小さな暮らしの音、
淡い光に照らし出された柔らかな表情の、
すぐ背後に迫る深い闇。
言葉で説明のつかない、それらの表現の渦を
見つめ続けた2日間だった。
今も、心の中で、ピアノが鳴り響いて、三島の絶叫が耳を離れない。
音と映像が出会うというのは、こういう事なのだ。