しばらく更新していない間に、
若松プロでは着々と撮影の準備を進めていた。
今年、「三島由紀夫」と「海燕ホテル・ブルー」と
立て続けに2本撮影した若松監督だが、
その勢いは、止まらない。
来月には、中上健次氏原作「千年の愉楽」がクランクインする。
先週、キャメラマンと監督と脚本家と共に、
ロケ地を探すべく、中上氏を育んだ紀州の地へ足を運んだ。
眼前に海を臨み、背後に迫る緑の山々に囲まれた、路地の風景。
中上作品に色濃く漂う、路地の空気。
その空気を求めて、尾鷲市入りした監督を待ち受けていたのは……
東紀州フィルムコミッションの方のご尽力で
まさにイメージにぴったりの集落が見つかった。
昭和の趣ある家々の間を縦横にめぐる石段。
到着した日は小雨に濡れた風景だったが
翌日は一転、輝くばかりの青空。
眼下の尾鷲湾が、キラキラと輝いている。
風景を見つめる監督の目がキラリと光った。
イメージがぐんぐんと膨らんでいく。
「オリュウがこの石段を、駆け上っていくんだな。
そしてパンだ。この集落の全景が…」
横でうなずく、キャメラマンの辻智彦。
台風被害などもあり、ロケ地探しに頭を悩ませていたここ数週間だったが
素晴らしい集落と出会い、一気に見通しが開けた。
脚本家の井出真理も、監督が語る路地のイメージを現地で共有しながら
第二稿を練り直した。
おんばんの会という婦人会の方たち、須賀利の地元の方たち
撮影中はいろいろな形で地元の方のご協力を頂きながら
来月、ロケがスタートする。
クランクインまで、もうあと3週間。
一気に慌ただしくなってきた若松プロである。
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