2011年7月25日月曜日

三島ダビング終了

昨日、今日と、2日間にわたり、
シネマサウンドワークスにて「三島」のダビングを行った。



三島の息づかい、衣擦れの音、風の音、
遠くに響く怒号、ため息、過ぎゆく電車の音。
そして、雅楽の音と板橋さんのピアノの音。
改めて思うのは、映画とは実に何層にも重なった表現だということ。
多くは語らず閉ざした口元のかすかな震え、
額を流れていく汗、どこかできこえる小さな暮らしの音、
淡い光に照らし出された柔らかな表情の、
すぐ背後に迫る深い闇。
言葉で説明のつかない、それらの表現の渦を
見つめ続けた2日間だった。
今も、心の中で、ピアノが鳴り響いて、三島の絶叫が耳を離れない。
音と映像が出会うというのは、こういう事なのだ。

2011年7月21日木曜日

フリージャズと三島の心の涙

昨日、7月20日は、六本木のスタジオにて、
三島の劇中音楽のレコーディング。
ミュージシャンは板橋文夫氏。
若松監督が、何年も前に、足利市で行われたライブに行き
その音にすっかり惚れ込んだという人だ。
三島と若者たちの心の奥底に潜む何かを
音として紡ぎ出してもらうならば、板橋さんしかいない!という
監督のラブコールで実現したコラボレーション。


 

レコーディングが始まった。
板橋さんの指が、身体が、鍵盤の上で踊る。跳ねる。
焦り、孤独、希望、不安、失望、決意、哀しみ。
吹く風、雲の浮かぶ空、揺れる草木、散っていく花びら。
苛立ちのうめき声。かき消されていく叫び声。
心の中を吹き抜けていく風。心の中で流れていく涙と血。
いろいろな風景が、音の中に立ち現れては消えていく。
流れたり、ぶつかったり、叫んだり、つぶやいたり、
板橋さんの指から、怒涛のように音楽が紡ぎ出されて、
気付いたら、4時間が経過していた。

2011年7月19日火曜日

響き渡る龍笛の音

7月16日(土)、ウルトラヴァイブさんのスタジオにて
三島の作中で流れる雅楽のレコーディングを行った。
雅楽について、詳しくはわからないけれど
限りなく研ぎ澄まされた、繊細な音の中に
静けさと激しさが裏になり表になり
絡まり合っているような、不思議な音色。
三島の精神世界が音になって立ち現れてくるようだ。
シンプルにきこえるように感じるが、
実はかなりの人数による、交響楽なのだ。
いろいろな音色が幾層も重なり合い
響き合って生まれる。
ダビングは来週。
音楽が、映像と出会う瞬間が、楽しみだ。

2011年7月1日金曜日

アフレコ無事終了

「三島」も「海燕」も、着々と編集が進行中。
キャタピラーに続き、編集はジェイフィルムの坂本さん。
「三島」の編集が佳境にさしかかっていた時、
すばらしいタイミングで、ある曲と出会った。
散っていく三島と森田の、心のつぶやきが、
どこか、今も世の中の空気に漂い流れているような
でも、そこには何も見えないような、
そんな透明感のあるサウンドだ。
ああ、映画って、すごく立体的な表現だなあ、と改めて思う。
「三島」に続いて、「海燕」の編集にとりかかる。
同じ監督の頭の中から続けざまに出てきたものとは思えない、
しかも、三島アップからわずか二週間後にインしたとは思えない、
まったく異質で不思議な手触りだ。
でも、どこかかつての若松作品を彷彿とさせる世界観や風景。
そして、くすっと笑ってしまう、監督のオチャメな演出の数々。
海燕の音楽は、ジム・オルーク。
連合赤軍以来のコラボだ。
先日の編集にはジムも同席。
久しぶりの再会を懐かしみつつ、映像の手触りを共有。
この映像に、ジムの独特な音が混じり合ったら…と想像するだけで
ゾクゾクとしてくる。
さて、昨日は、シネマサウンドワークスにてアフレコ。
いつもお世話になっている吉田さんと。