御殿場以降、怒涛の撮影が続き、ブログ更新のタイミングを作り出せませんでした。
おかげさまで、昨日、監督行きつけの高円寺の串焼き屋「一徳」さんにて
ラストカットの撮影が行われ、無事クランクアップ致しました。
後半、どんどん加速していく監督のエンジンにより
日々、俳優もスタッフも緊張感全開、集中力全開、
いっぱいいっぱいの状況が続いていました…。
監督も、自分の体力の限界ギリギリの状況の中、
それでも、全力でラストまで無事走り抜くことができました。
それは、スタッフと文字通り二人三脚で現場に関わり、
この作品への情熱をしっかりと注いでくれた出演者の皆さん、
さまざまなロケ地にて、ご協力くださった皆さまのお力があったからこそです。
本当にありがとうございました。
ややタイミングを逸してしまいましたが、以下、撮影現場ルポです。
3日間続いた御殿場ロケでは、全日とも天候に恵まれて
自衛隊訓練や、三島と自衛隊幹部とのせめぎ合い
楯の会の結成式などの撮影が順調に進められた。
御殿場2日目は、朝イチで三島の演説シーン。
ARATAの渾身の叫びが、バルコニーに響き渡る。
あの瞬間に三島が吸っていた空気を、追体験している感覚に陥る。
そしてこの日は、今回のロケ中唯一の夕食後撮影となった。
(さすが早撮りの監督、モリモリと撮影スケジュールを盛り込んでも、
大抵、午後3時頃には撮影を終えていた…)
自衛隊訓練の夜営シーンと、三島と森田ら若者たちの
最終行動に向けたせめぎ合いのシーン。
ーー
夜更けまで、監督の集中力は途切れることがなかった。
3日目には、三島の妻役の寺島しのぶが富士の荒野を歩くシーンの撮影。
「キャラピラ−」に続き2本目の若松組となる寺島の演技に
監督の満足そうな「オーライ!」の声が響く。
茫洋と広がる荒野、彼方に空を切り裂きそびえ立つ富士。
三島が自衛隊の訓練に汗を流した時にも、
三島が己の命をかけて行動を起こした後にも、
それらは全く同じ姿で、私たちの眼前に存在し続けている。
その状況の目撃者として、寺島の存在は作品の中で重要な意味を持っているのだ。
御殿場ロケの翌日からは、三島邸。
派手なシーンはないが、交わされる言葉、目線、絶妙な間合いが
三島を巡る人間模様を絶妙に描き出していく。
三島が背負おうとしたものの大きさ、彼の孤独、苦悩、
そして、彼と共に生きようとした若者たちの切実さ。
それは、イデオロギーや主義主張を超えた、
人間の「生」そのものの切実さで、見ているこちらの胸に迫ってきた。
役者がアドリブで漏らした言葉に心を打たれたり
気付くと涙がこぼれたり…そんな三島邸ロケ2日間だった。
三島邸のロケ写真は、後日アップします。
そして、いよいよ4月29日は、総監室に立て籠もり自決へと至るシーンの撮影。
役者も監督も真剣勝負。狭い室内に、気合いと殺気じみた空気が充満した。
どのようなシーンに仕上がったか、映画の完成を楽しみにお待ち頂きたい。
そして、昨日のラストシーンの撮影で、怒涛の2週間が幕を閉じた。
ラストカットの舞台は、冒頭の通り、監督行きつけの串焼き屋「一徳」さん。
アップ後は、全員で乾杯し、一徳さんの絶品レバー焼きをいただいた。
全力疾走後の脱力感と達成感の混じった役者さんの笑顔を見ながら食べるレバーは
ほろ苦く、少しもの哀しく、胃の中にしみこんでいった。
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