2013年2月26日火曜日

なくなったもの、うまれたもの

23日安吾賞授賞式の翌日は、晴れたりいきなり吹雪いたり
そんな空模様の中、シネウィンド新潟にて
「11.25自決の日」「千年の愉楽」それぞれ
上映後に舞台挨拶を行った。
「11.25自決の日」では、主演の井浦新と
自衛隊の富士学校校長役の篠原勝之、
そして若松孝二の右腕、撮影の辻智彦が登壇した。


それぞれが一言ずつ述べた後は、会場とのティーチイン。
会場から、手が上がり、質問が相次いだ。
「三島の演説シーンは、本来なら言葉を一番
 聞かせたい部分のはずが、聴衆の野次の大きさで
 ところどころ声もかき消されるほどで、
 そこに三島の悔しさが表現されてたと思う。
 が、彼は自分にはドンキホーテにしか見えず
 実際に、彼が何か残したものがあると、思えますか」
新は、三島の存在があったからこそ、
このような作品がつくられた事、そして
ラストシーンの古賀の両てのひらが
一体何を現しているのか、その問いかけが
我々に残された、と答えた。
篠原は、「そういうのはね、
みんなが自分の頭で考えればいいんであってね
こっちに答えを聞いても
面白くもなんともないだ」と一言。
現場での若松孝二についての問いかけに対し
辻は「監督は常に、どう演じるかではなく
どう存在するかを求める人だった。
そして、この作品においては、
台本には書かれていないようなエネルギーが
新さんの存在感からほとばしっており
そのエネルギーによって成立した作品ともいえる」と語った。
篠原は、自分の出演シーンにおいて
監督が小道具の食事がなかなか届かずに
監督の怒りが爆発していた直後だった事をあかした。
「いろんな段取り全部、頭から飛んじゃって
 つい、乾杯の前に飲んじゃっただよ。
 で、辻さんがカメラの横でニコってしたから
 そのまんま、続けただよ。
 途中でやめたら、若松さんは怒るしな」
予定をはるかに超過して終わったティーチイン。
続いて、「千年の愉楽」上映が始まった。
場内は補助席も全て満員。
上映後、高岡蒼佑、井浦新が登壇し、再びティーチインが始まった。

作品を語り、役柄を語り、現場を語って後、
高岡が、「監督と一緒に湯布院に行き、
ベネチアに連れて行ってもらった。
そして、各地での先行上映が始まったら
監督はもういなくて。でも、こうして各地を回って
監督の作品を愛してくれているたくさんの人たちの
顔をみることができて……これを、監督に
見せてあげたかったと……」と言葉をうしなった。
沈黙の続く高岡、ようやく「花粉症がひどくて…」と
ジョークで言葉を続けると、井浦が
「新潟はね、花粉すごいよね」と助け船を出した。
「でも高岡君、ほんとにしゃべるのうまくなったよ。
 先行上映の最初の頃は、まだどこかぎこちなくてね。
 でも、作品を持って全国を回って、しゃべり続けるうちに
 どんどん話せるようになって。これが若松組なんだよ。
 若松組の、作品への関わり方なんだよね。
 僕も、レンセキの最初の頃は、全く話せなくて……」
若松監督がいなくなった後も、若松組のやり方で
作品の公開まで走り続けられたこと。
キャストや監督とつながりのあるたくさんの人が
ともに走ってくれたことを思う。
「映画に時効なし」と言い続けていた監督。
これからも、監督の作品が生き続け、見続けられていく間は
いろんな批判も批評も続くだろう。
それは、若松孝二が、そこにいるからだ。
公開まで、あと2週間足らず。
作品は、もう一人歩きを始めた。
あとは、もっと遠くへと打ち上げていくだけだ。

2013年2月24日日曜日

若松孝二、ゆかりの地で、安吾賞受賞

長い長いトンネルを抜けながら
思い返していた。
新潟、監督は好きだったな。と。
キャタピラーは言わずもがな、
海燕ホテルも、冒頭のユキオ出所シーン、
三島の2・26、そして、17歳の風景や
完全なる飼育など、最近のほとんどの作品の
ロケ地となっている。
さらに、中上健次氏と坂口安吾との繋がりなど
あらゆるものが、環のように結びつく。
記録的大雪と聞いていたのに
新潟に到着すると、暖かく薄日が射している。
珍しい事だというから、晴れ男の監督が
やってくれたな、と思う。
23日午後の新潟市りゅーとぴあ劇場は
場内満員のお客さまで埋め尽くされていた。
「出でよ、現代の安吾」
無頼派、常識を乗り越え、時代に波風を起こす。
誤解も否定も恐れずに、ノイズを発すること。
この度、若松孝二に送られたのは、そんな賞だった。
第一部では、新潟市長、先行委員長ら挨拶、
賞状とトロフィー授与、監督の三女・尾崎宗子挨拶。
宗子は、監督が常々言っていた、各地のミニシアターを
取り巻く状況の厳しさ、作品を存在させる場としての
劇場の大切さを訴えた。
第二部。若松孝二の近作メイキング映像からスタート。
改めて思う。
鬼気迫る覚悟で現場に向かった「実録・連合赤軍」の
現場こそが、その後の若松組の源流になった事を。
そして、思いありつつ出席できなかった
寺島しのぶ、佐野史郎のビデオメッセージに続き、
いよいよゲストトークへ。
井浦新、高岡蒼佑、篠原勝之、辻智彦が登壇。
それぞれにとっての若松組の現場を語った。

若松作品の自分は、動く書き割りなのだと
篠原が言うと、
作中の篠原は、若松の分身に見えると井浦が語る。
現場では、一度も自分を怒る事のなかった
監督に唯一怒られたのは、共に参加した
湯布院やベネチアの映画祭で
飲み続ける監督を止めようとした時だったと
高岡が語り、場内に笑いが出た。
若松孝二の遺志を、継ぐ事など出来ず、
ただ関わった各自、各作品の中の若松孝二と出会った
一人ひとりが、その出会いの中で積み重ねた事を
抱えて歩いて行くだけだと井浦が言った。
慣れっこになるな、と、百本以上つくり続けてなお
既存の方法論を嫌った若松孝二の生き様の
安吾との共通項を辻が指摘した。
いつも、皮膚の言葉を紡ぐ、篠原が
監督の「若松さんはな、自分の中の常識をつくって
それでやって来たんだな」とまとめた。
監督が、クマ、クマと呼んで、それこそ
自分の分身のように愛着を込めていた事を思い出す。
若松孝二の安吾賞授賞式は、
若松組らしい賑やかな空間を生み出した。
遺影と同じ、笑顔の監督が
写真から抜け出して、会場を満足げに見下ろしていた。
24日は、近作及び新作「千年の愉楽」上映中の
シネウィンドにて舞台挨拶。
この若松孝二特集上映は、一週間続く。

2013年2月15日金曜日

ブルーリボン賞、井浦新、そして若松孝二に。

昨日、第55回ブルーリボン賞授賞式が行われた。
在京スポーツ7紙の映画記者が選ぶという同賞、
生前の若松監督には縁がなかったが、
この度、特別賞なるものが、授与されることになった。
「賞とか名誉は人をダメにする」が持論の監督だったが
宣伝費ゼロ円の自主配給ゆえ
「宣伝になるんだったらもらっとけ」も持論だった。
「千年の愉楽」公開に先立つこの時期の受賞
監督が喜ばなかったはずがない。
授賞式には、監督の三女で若松プロ代表の伊藤宗子が出席。
墓前に報告してきた事などを語った。
そして、何よりも監督が喜んであろう受賞は
近年の若松組の俳優陣の背骨となってきた
井浦新の「助演男優賞」。
生前から「「11.25自決の日」で、なんとか新に主演男優賞を
取らせたいんだよなあ」と語っていたが
残念ながら、それは果たせていない。
しかし、「かぞくのくに」での新の演技力が
高く評価されている事は知っており
上映されているテアトル新宿にちょくちょく足を運ぶほど
その事を気にかけていた。
人一倍ヤキモチ焼きの監督は
自分以外の作品で、俳優さんが名演技をすると
喜びつつも、どこか悔しがるところがあった。
しかし、自分が新作を撮る事ができなくなった以上、
若松組の参加したキャストたちがますます力を付けていく様を
向こう側からニヤニヤしながら眺めている事だろう。
若松監督、おめでとうございます。
そして、井浦新さん、おめでとうございます!
映画界に、ますます波風を!

2013年2月13日水曜日

監督が愛した紀北町の「渡利かき」

「千年の愉楽」ロケ終盤、
高良健吾演じる半蔵がオールアップしたその日、
昼に撮影予定のシーンが全て終了した。
あとは、明日の年老いたオリュウのシーンを残すのみ。
空いた時間を使って、監督と高良が
三重県庁にご挨拶に出向くことになった。
その日の夜は、須賀利の民宿で、キャストスタッフ全員で
クランクアップの前祝いとして軽く乾杯することにしていた。
「17時までには、戻って来てくださいね」
何度も監督に念を押したが、待てど暮らせど監督は戻ってこない。
しびれを切らして電話をすると、とうに三重県庁は出発したという。
「今、どこにいるんですか!?」
「いいから先に始めてろ」
「他のキャストの方たちもみんな待ってるんですよ、
 あと何分で到着するんですか」
「うるせえ!」
「今、どの辺りにいるかだけでも、教えてください」
「ああ、もういいから、先始めてろって」
なかなか口を割らない監督。電話が切れた。
せっかく、みんなで「お疲れ様でした!」の乾杯をしたかったのに…。
やむなく、先にこじんまりと宴を開始させた。
と、まもなく監督と高良が到着する。
えもいわれぬ上機嫌な表情の監督。
「あ〜、最高の牡蠣、食べて来た!」といきなり白状する。
どうやら、須賀利に戻る道すがら、白石湖ほとりの養殖場に立ち寄り
名物「渡利かき」をその場で剥いてもらってたらふく食べて来たという。
「いや、ほんとにここの牡蠣、絶品だよ!」と
スタッフの白い目に気付いてか気付かないのか、
ますます上機嫌の監督だった。
白石湖は、海水と淡水が入り交じり、
この絶妙のバランスが、ほかにはない甘みと香りの牡蠣を育てるのだという。
あのとき、キャストたちを待たせても監督が食べ続けたという
幻の牡蠣を求めて、今回、新宮から東京へ戻る道すがら
白石湖ほとりの養殖場「畦地水産」さんに立ち寄った。
白石湖の湖岸近くに、養殖生け簀が広がる。
ホタテの殻に付着した牡蠣がぶら下がっている。
大きな牡蠣をいくつか剥いて頂いて、みかん色の地元のカボスを絞って頂いた。
監督が、なかなか戻って来なかった訳がやっと理解できた。
甘く爽やかに鼻に抜ける潮の香り。
東紀州の地が育んだ「渡利かき」、今回は井浦、高良らも
新宮への移動前に立ち寄って堪能したという。
確かに、絶品である。
畦地水産さんは、監督の事を鮮明に憶えていてくださった。
「なんだか、ちょっとぶっきらぼうだったんだけれども
 美味しい美味しいって、たくさん召し上がってくださって」

 
缶ビールと牡蠣を両手に持った、食いしん坊の監督の満足顔。
美味しいものが大好きな監督、
本当に美味しくて、本当に大満足していたのだった。
畦地水産さん、ありがとうございました。
http://azechi3.jp/

2013年2月11日月曜日

「千年の愉楽」が生まれた場所

2月9日早朝。
朝もやの中から紀州の山並みが見えて来た。
いよいよ、ロケ地尾鷲での先行上映会が始まる。
ロケが終わったその瞬間から、監督がこだわり続けた
「この場所に、出来上がった作品を持って、最初にみせにくる」こと。

聖地巡礼に赴くような気持ちになり、嬉しさと恐さが相半ばする。


 

尾鷲市内の「せぎやまホール」に到着すると
開場3時間も前からホール入り口で待っている
お客さまたちの姿があった。
そして開場1時間前にはホール前に長蛇の列が。
須賀利の集落からは、バスを仕立てて大勢の人たちがホーいルに駆け付けた。
杖をついたおばあちゃんたち、エキストラで協力してくれたおじさん、おばさんたち。
懐かしい顔ぶれに、あの怒涛のロケの日々が一気に皮膚に甦ったきた。




キャストたちも次々とホール入り。
若松孝二の新作を、お客さまの手にゆだねるその瞬間に備えた。

上映開始。ホールの中を奄美三線の音楽が流れ始め、
尾鷲のスクリーンに新たな物語が産まれ始めた。

上映終了、舞台袖で待っているキャストたちの耳に
場内 のざわめきが聞こえてくる。
高良、高岡、井浦の三人が壇上に並んだ。
いつもの如く、井浦が作品の血を語り、
高岡が監督との出会い、三好との出会いを語り、
高良が紀州への思い、「演じる」ことと「存在すること」を語る。




時間はたっぷりあった。
「若松組はいつも、ティーチインを大切にしています」
と井浦が、客席に呼びかけると
戸惑いつつ、少しずつ客席から手が上がり始めた。

「水場でのあのシーン、私らも映ってるんですが、
高良さん、寒くて大変でしたね、風邪ひきませんでしたか」
「須賀利は階段だらけでしたが、筋肉痛になりませんでしたか」
「私、実は出てるんです、女Aです」
ロケ地の人たちならではの素朴な発言が続く。

ロケ中の昼食を全面的にサポートしてくれた、
地元の婦人会「おんばんの会」の世古さんが手を上げた。
「朝の風景、夕暮れの景色、
私らの須賀利が、こんなに美しかったなんて。
須賀利を改めて見直しました。
本当に美しかった。
ロケが終わった時、監督さんに
「監督さん、この風景を映像にしてずっと孫子の代まで
残して下さって、本当にありがとうございます」と言ったら
監督さんは、「日本だけじゃないよ、僕は
この映画を外国に持っていくからね。
世界中の人たちに見せてくるからね」と。
サングラスの奥の目は、本当に優しかったんです」

ロケ地での時間を思い出す。
須賀利の風景と、須賀利の人と、
須賀利という地域が育んで来たあらゆるものが
この作品を作り上げる力になっていた。

二回ともたっぷり一時間のティーチインを終え、
一路、須賀利へ。
真っ暗な闇の中、車から降り立つと
頭上に満点の星空が広がった。
ロケの日々、宿へ向かう疲れた身体を
この夜空が包んでいたのを思い出す。

東紀州FCの皆さんと、懐かしの民宿で
ささやかな乾杯。
監督との大きな約束のうちの一つを
キャストとともに果たし終えた。
若松組の旅も折り返し地点。

翌朝は、新宮が待っている。

2月10日。
朝食前に、須賀利の集落を歩く。
静まり返った、まだ目覚める前の路地。

三好が芳子に追いついた、階段の上のお寺へ。
梅の木が、桃色の花をつけていた。
三好の姿はどこにもない。
長い階段を、酸素ボンベをポケットに
ゆっくり登っていた監督の姿もない。
「子宮みたいだ」と監督がつぶやいた尾鷲湾を見下ろす。
海の向こうに飛び出したいと熱望していた三好の魂のように
監督の魂も、海の果ての向こう側に帰り着いたのだろうか。
紀州のこの地には、そんな思いを抱かせてくれる
命の始まりと終わりのものがたりの空気が満ちていた。

須賀利の景色に別れを告げて、中上健次氏の故郷、新宮へ。



そこで待っていたのは、大ホールを埋め尽くした
お客様たちだった。



エンドロールが消えた瞬間に沸き起こった拍手。
熊野・新宮という地への思いを井浦が冒頭に語り始めて
エンジンフル回転になったトークは
会場からの、「血」の問題について、あるいは
中本の男を演じる、紀州の言葉を語る上での
役作りについて、俳優という生き方について、
女優・寺島しのぶについてなど
質問は途切れる事なく続いた。

「観てもらえなければ、作品は存在しなかった事になってしまいます。
 この作品、面白くなかったら面白くないと
 スタッフでも誰にでもぶつけていただいて、
 もし少しでも愛して頂けたのならば、ぜひ、
 一人でも多くの人に、この作品を伝えて欲しいのです」



作品は「演じてお終い」でもなければ「編集してお終い」でもない。
「初号試写でスタッフキャストにお披露目してお終い」でもない。
この作品が、観たお客さま一人一人のものになる、
その瞬間にたどり着くために、成すべき事をする。

シンプルで変わることのない、若松組の「ロードショウ」への道のりである。
紀州の地に、作品を手渡すことができたこと。

ハードなスケジュールを縫って時間を捻出してくれたキャストに。
そして、東紀州FC、新宮FCの皆さんに、
須賀利の皆さんと足を運んで作品を受け取ってくださったお客さんに。
心から感謝を申し上げます。

今週末は、静岡シネギャラリーにて先行上映会。
2月16日(土)10:30/19:00
サールナートホール1階大ホールにて。
19:00の回には、高岡蒼佑が舞台挨拶に登壇する。

2013年2月8日金曜日

ロケ地、尾鷲が待っている!

3月9日の全国公開に向けて、
その折り返し地点とも言える、ロケ地尾鷲での上映
そして中上氏故郷の新宮での先行上映がいよいよ始まる。

完成した作品を抱えて、再び尾鷲を訪れる。
ロケに惜しみない協力をしてくださった皆さまに
そして、素晴らしい風景を私たちに与えてくれた
紀州のその地に、作品を持って再び再会する。

万感の思いを込めて。

2013年2月5日火曜日

DVD発売記念!代官山TSUTAYAに集結

昨夜、代官山TSUTAYAにて行われたトークイベント。
「11.25自決の日」「海燕ホテル・ブルー」DVD発売を記念して
久々の若松組の面々が代官山TSUTAYA映像フロアに集結した。
井浦新、大西信満、満島真之介、片山瞳。
2作品の出演者たちが、映像フロアの片隅に並んで座り、
そのすぐ向かい側は、会場に足を運んでくださったお客様でぎっしり。
小さな空間が、たちまち「若松組ティーチイン」の場と化した。

各作品のオファーのタイミング、海燕で行われた異例のオーディションの様子
現場での2作品の空気の違いと、共通する緊張感。
狭い空間にディープな言葉が飛び交った。
「楽しんでいても、馴れ合いはない。どんな現場であっても
 監督が役者に求めて来るものを知っているから、緊張する。
 考え無しの芝居をすぐに見抜かれるから」
三島由紀夫と海燕ホテル、テーマへのアプローチは真逆に見えて
人間を演出するという姿勢において、若松孝二は変わらない。
さて、イベント後半は恒例の観客からの質問に。
「同世代の役者さんとのせめぎ合い、共有したもの」について満島が問われ
「恐らく、自決した2人より残された3人の方が辛かっただろうね、と
 そんな事を語り合っていた現代っ子の僕らにとって
 最後に唐獅子牡丹を歌いながら、車の中で言葉を交わしたあのシーンで
 5人の気持ちが一つになったように感じた」とロケ当時を振り返る。
続いて、「みなさんの好きな過去の若松作品は?」との
レンタルショップならでは、テンションも上がる質問が。
「若松監督の、日本の原風景への眼差しを感じる」
「原田芳雄さんと監督との対等なぶつかり合いの現場だった」と
井浦、大西が「寝取られ宗介」を選ぶと、
「それまで全く関心のなかったピンクだったけれど
 ピンク界の黒澤と聞いて驚いて、見てみた。あの時の衝撃。
 男と女の肉体があれほど神秘的で、生と性の不思議さに触れた映画は
 初めてだった」
「風景としてのアプローチがとても似ていて、クランクイン前に
 監督からも観るように勧められた」と
満島、片山が「処女ゲバゲバ」を挙げた。
一方で、「若松監督がプロデューサーだけに徹した作品
あるいは、(自分が資金を出さずに)監督だけに徹した作品など
それぞれの作品を見ると、また、興味深い」と井浦が別の視点を提起するなど
話しはどこまでも拡がり…。予定時刻を過ぎての白熱トークとなった。
口角泡を飛ばして作品について語っていた若松監督の姿はなく、
作品について思いを伝えようとするキャストたちの顔ぶれを見つつ
この光景はしばらく見ることはないかもしれないと思いつつ
しかし、それぞれがまた、次なる挑戦をしている様子を聞くと
若松プロ、死なず!と思うのであった。
次は新たなる「千年の愉楽」公開に向けて
歩を着々と進めていく。
再度、告知を。
2月9日10日、三重県尾鷲市、和歌山県新宮市にて先行上映会。
いずれの会場でも、高良健吾、高岡蒼佑、井浦新のトークあり。
2月9日(土)尾鷲市民文化会館(せぎやまホール)
12:00/15:30
当日券のみ(11:30よりホール入り口にて販売)全席自由1000円
各回上映終了後にキャストトーク。
共催:財団法人尾鷲文化振興会
2月10日(日)新宮市民会館大ホール
12:30/16:00 全席自由1000円(前売りも1000円)
12:30の回は上映終了後に、16時の回は上映前にトーク。
前売り券の販売場所は以下。
新宮市観光協会/文具センターツツ井/荒尾成文堂
勝浦観光協会/TSUTAYA WAY新宮仲之町店
共催:熊野しんぐうフィルムコミッション