先日、函館映画祭に出席した監督が
今週は、一路、奄美へ。
北へ南へと、文字通り奔走している。
今回の奄美訪問の目的は、編集を終えたばかりの
「千年の愉楽」の音楽の打ち合わせだ。
今回、クランクイン前から、監督が連日聴いていたのは
中村瑞希さんが唄う奄美の民謡だった。
空気を静かに震わすサンシンの音と歌声。
キャメラがパンするときも
「辻さん、この歌のリズムでパンして」
中本の血が流れていく時のお芝居も
「この歌が流れていく感じで」…。
撮影中の監督は、
いつもポケットに、この音楽を入れていた。
サンシンの音色と唄声が路地の空へと流れていく。
それは、オリュウの静かに燃えたぎる情熱であり
出口を求めて彷徨っていた三好の咆哮であり
己から逃れようともがく半蔵の血の滾りであった。
先月末、ジェイフィルムにて編集しながら、
この映画の全編を、言葉にならぬ静かな思い
サンシンが震わすような空気の波が包み込んでいると感じた。
今回、この中村瑞希さんと「千年の愉楽」の音楽の
打ち合わせをするために、奄美に行った監督。
同行したのは、音楽プロデューサーの高護氏。
現地に着いた監督を待ち受けていたのは…。
なんと、中村瑞希さんとミュージシャンのハシケンさんによって
オリュウオバのテーマソングとも言うべき1曲がすでに出来上がっていた。
路地から飛び立って行く1つ1つの魂への
オリュウの叫びが、1つの曲となっていた。